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【進学予定の方必見】学費はいくら?アルバイトは難しい? 専門学校事情を徹底解説

鈴木絢子
イラスト
前田はんきち
UPDATE
2023/07/31/
専門学校の進学を考える学生

新潟県の高校卒業生のうち、4人に1人が専門学校へ進学することをご存知でしょうか。
4年制大学と比べ学費の総額が抑えられ、短期間で実用的な知識が身に付くことから人気が集まっているようです。そこでお子さんの夢をサポートするためにも、親御さんが予め知っておきたいのが「専門学校だからこその支出」。専門学校の学費について上越市在住のファイナンシャル・プランナーである松永聡大さんに詳しく聞きます。

新潟県では専門学校が人気?

――新潟県内の高校卒業生のうち、令和4年3月の調査において、4人に1人が専門学校へ進学するとか。専門学校を選ぶ人は多いのですね。どんなところに決め手があるのでしょう。

短期間で専門知識を身に付けることができたり、就職率が9割を超えている学校があったりと、メリットは多くあります。
お住まいの地域によっては自宅から通うこともできるでしょうし、学ぶ内容も明確で、保護者にとっては「子どもが学校で何をしているかわからない」という不安が少ないかもしれません。私のところへ相談にくる親御さんは慎重で堅実な方が多いように思いますので、そうした意向も影響しているとみています。

専門学校の学費、各家庭の実情

――堅実なのは県民性なのかもしれませんね。では、進学費用なども堅実に計画されている方が多いのでしょうか?

それがそうとも言い切れないのです。専門学校を選ぶ理由に「学費が比較的安価だから」と挙げる方もいますが、いざお子さんが進学するとなった際に「こんなにかかるの?」と驚かれる方も多いですよ。

とくに実技や実習の多い専門学校では、授業料以外の費用負担が予想以上にかさむケースも少なくありません。

⚫️ジャンル別・学費の例【専門課程・昼間部】(平均額/単位:万円)

分野 学科
区分
入学金 授業料 実習費 設備費 その他 初年度
合計
2年目以降
合計(年額)
工業 情報処理
、IT
18 61 14 26 4 123 105
医療 看護 18 70 6 16 5 114 96
衛生 理容、美容 12 54 23 20 25 134 122
教育・
社会福祉
保育、教育 18 70 6 16 6 115 97
商業実務 旅行、観光
、ホテル
13 82 7 18 5 125 112
文化・
教養
美術、写真
、デザイン
17 70 12 19 3 120 103

出典:公益社団法人東京都専修学校各種学校協会「令和3年度 学生・生徒納付金調査」より抜粋。各科目の平均値を集計しているため、横の合計は一致しない(「2年目以降の合計(年額)」は「初年度合計」から入学金を引いたものにて計算)。

上の表を見てもわかるとおり、年間の費用は100万円を超える分野が多く、とくに「設備費」は大きな出費です。消耗品だけでなく、教科書などの教材費も必須で、そうしたものを含んだ納入額は高くなりがちです。

――年間100万円以上ですか……! 正直想定よりも高くて驚きました。実習費にお金がかかったり、設備費が高かったりと、ジャンルによってお金がかかる部分がまちまちですね。

わたしが説明する際、親御さんには、大学の学費の目安を「年間で国立文系大学は60万円、私立文系は100万円、私立理系は150万円」とお伝えしているのですが、専門学校の学費は国立文系大学よりも高くなる場合があります。

専門学校は2年または3年で卒業できるため、総額では安くなりますが、初年度費用は私立文系大学に匹敵する場合もあります。「専門学校なら安い」とタカをくくらずに、事前にしっかりと調べ、準備をしておくことが必要です。

――場合によっては子ども自身にアルバイトをしてもらい、学費や家計を一部援助してもらうという方法も考えなくてはいけませんね。

実はそこにも専門学校ならではの事情があるのです。実習の多い専門学校は普段から比較的拘束時間が長く、まとまった長期休暇が取れない場合があります。そのため、学生本人にアルバイトで学費を工面してもらうほどには、アルバイトに時間を割けないかもしれません。

実際に「子どもにバイトをしてもらおうと思っていたのに誤算だった」と頭を抱える相談者の方もいらっしゃいました。これも費用負担が大きく感じる一つの要因ですね。

松永聡大さん松永さん

アルバイトをする時間がなく困っている女性

一人暮らしの可能性も考慮しよう

――学校入学と同時に親元を離れたら、さらに負担が増えそうです。そうした人はどれくらいいるのでしょうか。

私がオフィスを置く上越・妙高エリアでの感覚ですが、高校卒業時に進学するのは4人中3人。そのうち2人が県外に出るので、一人暮らしになりますね。残りの1人は県内ですが、恐らくその多くは新潟市などへ進学しています。

冒頭でも新潟は専門学校が多いとお話ししましたが、ランクインしているのは40校ある新潟市中央区で、妙高市は2校、上越市には3校しか専門学校がありません。

専門学校への進学と同時に一人暮らしになるかどうかは地域差がありますが、新潟市以外にお住まいの場合はその確率が上がることでしょう。もちろん自宅から通えることを基準に学校を選ぶケースもあるでしょうが、新潟市も含めると5割ぐらいの人が一人暮らしになるのではないかと思います。
まずは「一人暮らしになる可能性もある」ことを考慮して準備しておくと安心ですね。

松永聡大さん松永さん

▼一人暮らしにかかる費用は、こちらの記事をご覧ください。
子どもが東京の大学に進学したら、一人暮らしにどのくらいお金がかかるの?

――十分にアルバイトができない、一人暮らしも視野に入れるとなると、親からの仕送りが欠かせなくなりそうですね。

日本学生支援機構の調査によると、専門学生の生活費のうち学生寮・下宿・アパートに住む一人暮らし学生の「家庭からの給付」は、月に約9.3万円程度。年間では110万円を超えています。決して少なくない額ですが、物価や都市部の家賃が高騰している今、これで本当に十分なのかといった額でもありますよね。

ちなみに新潟県内には、食事もでる学生寮を備えており、入寮することで生活費を抑えられる専門学校もあります。しかしそうした工夫をしても、ピンポイントでやってくる教育資金の局面を切り抜けられるかどうかは、すべてご家庭の事情次第なのです。

「老後資金を学費にまわす」はやってはいけない?

学費に老後資金をまわす弊害のイメージ

現代は、まず「わが子が進学する」という前提で考える方が多くなっています。しかし、お子さんの人数、弟や妹の有無や年齢差、あるいは親御さんの年齢や仕事の状況など、事情は十人十色です。

また、社会情勢の変化によって、一昔前の時代だったら持ちこたえられた費用負担が、より重くなっているという面も。

「自分の学費は親に出してもらったから、子どもの学費も出してあげたい」ところですが、もし用意してきた老後資金を教育資金にまわしたことで、老後資金が足りなくなれば、結局何十年後かにお子さんに頼らなくてはならないことも……。この機会に、お金ともお子さんともしっかり向き合うべきだと思います。

松永聡大さん松永さん

――老後資金を手元に残しながら、教育資金……。どうすればいいでしょう。

もちろんできるだけ早くから教育資金の準備はしておきたいところですが、家計に余裕がないことがわかったら、無理をせずに奨学金や教育ローンを視野に入れるといいと思います。お金を借りることに対して抵抗がある方もいらっしゃいますが、お子さんの夢のために適正な範囲で借りることを検討してみてはいかがでしょうか。

今や大学進学者の約半数が奨学金を使う時代。それぞれの特性をきちんと理解して、自分たち家族に合った借り方を選びましょう。

わが家に合った「借り方」とは?

――借り方の具体的な種類や選び方を教えてください。

まず思い浮かぶのは、日本学生支援機構の貸与型奨学金だと思います。これはお子さん自身が借りて返済していくものなので、その点をお子さんにも理解してもらう必要があるでしょう。
こうした奨学金は金利が低く、在学中には利息がかからないことが特徴です。新潟県独自の奨学金制度もありますよ。

また、国の教育ローンも在学中の返済義務はありませんが、上限350万円※までの大金を一括で借りることになるため、人によっては複数年の配分に不安を感じることもあるかもしれません。
※自宅外通学の方など一定の要件に該当する場合、お子さん1人につき上限450万円までのお借り入れが可能

反対に奨学金は2万円からの月額制なので、それだけで初年度費用などの大きな金額には対応しきれないでしょう。

相談者の方から「奨学金についてわが子に直接説明してほしい」とご依頼があったこともあります。私から奨学金についてお話しした後、お子さんも学費を意識するようになり学びに対してより真剣になったようでした。

松永聡大さん松永さん

――それぞれに異なる利点があるようですね。民間の銀行が展開するローンにはどんな特徴があるのでしょう。

銀行ローンでオススメするのはいわゆるカードローン型で、必要に応じて出し入れ自由な点が大きなメリットだと思います。奨学金や国の教育ローンと違って、在学中余裕があるときはこまめに返済することもできるので、その分利息負担も小さくできますね。

個人的には銀行のカードローン型の教育ローンは使い勝手がいいと考えています。なので「使わずに済んだらそれでいいので、いざという時のために、お守り代わりに持っておいては」とオススメすることもあります。
また、返済義務のない給付型奨学金は意外に存在を知られておらず、使えるはずのご家庭からも「誰も教えてくれなかった」と聞くことも。世帯収入やお子さんの成績など条件は厳しくなりますが、一度調べてみてほしいですね。

松永聡大さん松永さん

以上、今回は専門学校の費用と進学費用が足りない時の対処法をご紹介いたしました。
先にお伝えした通り、専門学校は即戦力となる高い技術や知識を、短期間で実践的に学ぶことができるメリットの多い進学先です。ただ注意点として、実習費やアルバイトによる学費の工面が難しく「想定より費用がかさむ」ことが多いため、計画的な学費準備がとても大切。
もし資金不足の可能性がある場合は、早めに奨学金や教育ローンといった対策を検討し、お子さんの一番のサポーターとして、夢の実現に向けた支援体制を整えておくようにしましょう。

【教えてくれた人】松永聡大さん
新潟県上越市出身。大学卒業後、新潟県内の金融機関に7年勤め、住宅ローン・その他個人ローンなどを担当。現在はファイナンシャルプランナーとして、幅広い層からのご相談、セミナー講師など活動を行う。得意分野は資産形成、家計・固定費の見直し、子供の教育費の積立など。

松永聡大さん松永さん

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