投資ビギナーもはじめやすい資産形成として定着しつつあるNISA。2027年1月にはこどもNISAをはじめとする税制改正が行われることから、ファイナンシャル・プランナーの八木陽子さんに、改正内容と今後の活用法について教えていただきました。
利用者増加中のNISAが2027年から税制改正
「最近、まわりにNISAをしている人が増えた」と感じる人は多いのではないでしょうか。実際、NISAの総口座数は2025年12月末時点で約2,820万口座※に達し、2024年から1年間で261万口座も増加しました。年を重ねるごとに口座数は増加傾向にあり、いまや資産形成のスタンダードになりつつあります。
※参考:金融庁「NISA口座の利用状況調査(令和7年12月末時点)」
こうした状況を受け、2027年(令和9年)1月1日から制度がさらに改正されます。「すでにNISAを利用しているから関係ない」「いまのままで十分」と思う人もいるかもしれません。しかし、今回の改正では子育て世帯や、安定的な資産形成を目指す人にとって、活用の幅がさらに広がる内容が盛り込まれています。それでは今回の改正ポイントを見ていきましょう。
新設のこどもNISAをはじめ改正点は3つ
2027年のNISAの改正点は、以下の3点です。
| 改正点 | 主な内容 |
|---|---|
| 「こどもNISA」の新設 | 18歳未満にNISAつみたて投資枠が解禁される(年間60万円が上限) |
| つみたて投資枠で「債券ファンド」が解禁 | つみたて投資枠で「債券中心のファンド」が購入可能に |
| つみたて投資枠で「対象指数」が追加 | つみたて投資枠の指定株式指数に「読売株価指数」「JPXプライム150指数」が追加 |
それぞれに共通しているのは、投資の選択肢がより広がるという方向性です。
まず、こどもNISAの新設により、子育て世帯には非課税の投資枠が年60万円追加され、教育資金を積み立てる新しい手段が生まれます。
また、つみたて投資枠における債券ファンドの解禁や対象指数の追加は、投資スタンスに適した商品を選びやすくすることにつながります。
これまでは、つみたて投資枠の投資対象は「金融庁が指定する株価指数に連動するインデックスファンド」または「指数に連動しない投資信託(ファンド)で、主に株式に投資するもの」に限られていました。2027年1月1日以降は新たな指数の追加によって、日本株の中でも自分の考えに合った商品を選びやすくなります。さらに、債券中心のファンドも対象になるため、「大きな値上がりは求めないので、値動きを抑えながら運用したい」という人にも選択肢が広がります。
資産を守りやすく、金融教育にも役立つこどもNISA

今回の改正でもっとも注目されているのが「こどもNISA」の新設です。
本来は18歳以上の成人しか利用できないNISAが、2027年から0~17歳の子どもでもつみたて投資枠限定で専用口座が開設できるようになります。具体的には、0歳から17歳まで年間60万、上限600万円を非課税で投資でき、18歳以降は通常のNISAに自動的に移行する仕組みです。
【こどもNISAの概要】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象年齢 | 0歳~17歳 |
| 年間投資枠 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 17歳まで:600万円 ※18歳以降:通常のNISA(生涯の保有限度額1,800万円)に移行 |
| 投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 (通常のNISAつみたて投資枠対象商品と同様) |
| 運用管理 | 12歳以降は、子の同意など一定の要件のもと払い出しが可 |
こどもNISAの利点は、子が12歳を迎えるまで資金が据え置かれる(原則として払い出しができない)という“守りやすさ”にあります。教育資金を親名義で管理していると、住宅購入や車の買い替えなどで出費が重なった時に取り崩してしまうケースは少なくありません。将来使うお金は目的ごとに口座を分けて管理したほうが、計画的に積み立てを続けやすいでしょう。
ひとつ注意しておきたいのは、こどもNISAでは12歳以降、払い出しに子本人の同意が必要になる点。特に思春期以降は、親と子で資金の使い道について意見が食い違うことも起こり得ます。あらかじめ「何のために積み立てるお金なのか」を親子で共有しておき、お子さん自身が将来のためのお金について考える機会を作るようにしてください。
さらにこどもNISAは、お子さん自身の金融教育にも役立ちます。毎年のお年玉や進学時のお祝い金の一部を投資に回し、一緒に運用状況を確認すれば、「お金は銀行に預けるだけではなく、育てることもできる」という感覚を子どもの頃から身につけられるでしょう。

こどもNISAは「運用期間」を意識してはじめる
こどもNISAは教育資金の準備に役立つ制度です。お子さんの成長とともに時間をかけて積立投資を行うことで安定した資産運用が見込めます。
ただし、「まとまった入学金など、教育資金が必要になるまであと数年」「すでにある程度積み立てはできている」といった場合には、無理にこどもNISAを活用する必要はありません。あと数年という短期間だけこどもNISAで運用をしても、価格変動の影響を受けやすくなるからです。
一方で、「子どもがまだ幼少期のいまから教育資金を積み立てたい」「教育資金を使うまでの期間が10年以上ある」という場合は、こどもNISAを活用しない手はないと言えるでしょう。積立投資は長期で運用するほど短期的な価格変動の影響を受けにくく、リスクを抑えながら資産運用できるため、じっくりお金を育てるのに向いています。
商品や制度はあくまでも資産形成の目的を実現するための手段のひとつです。「新商品だから」という理由だけで、安易に運用を始めるのではなく、その商品が「ライフプランや運用の目的、リスク許容度に適しているか」を考えたうえで投資を判断することが大切です。とはいえ、なかなか独力で決めるのは難しいもの。少しでも迷いや疑問があるなら、ご自身のメインバンクなど、お金のプロに相談をしてみるのはいかがでしょうか。

