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戸建てとマンション、新潟でマイホームを購入するならどっち?

悠木まちゃ
イラスト
まつもとめいこ
UPDATE
2025/11/18/
マンションと戸建、それぞれのメリットを挙げて希望する夫婦

新潟県内でマイホームを持つなら、戸建てとマンション、どちらがいいのでしょうか。
冬の雪かきの大変さを考えるとマンションは魅力的だけど、庭のある戸建てでのびのび暮らすのも捨てがたい……。そんな生活面に加え、金銭面や税金など、気になるところはたくさんあるはず。そこで、住宅事情に詳しいファイナンシャル・プランナーの市川貴博さんに話を聞いてみました。

戸建ては「住まいを育てていきたい」人に向いている

ーー新潟でマイホームを購入する場合、戸建てとマンション、どちらがいいのでしょうか。ネットでもよく話題にのぼる「究極の選択」でもありますが。

悩みますよね。戸建てとマンションにはそれぞれ特徴があり、特徴を理解したうえで自分の考えに合った選択をするのが肝心です。
さしあたり戸建ての特徴から見ていきましょうか。生活上のメリット・デメリットとして、一般的には次の内容が挙げられます。

戸建ての一般的なメリット・デメリット
メリット デメリット

【生活面】
・間取りの自由度が高い(注文住宅の場合)
・子どもの足音や、オーディオ類の音量を気にしなくてよい
・リフォームの自由度が高い
・(庭がある場合)BBQやDIYが楽しめる

【生活面】
・庭や外壁のメンテナンスが必要
・雪かきが必要になる場合がある
・断熱性が低いと冬季は寒いことがある
・町内会など地域との関わりがある(人付き合いが苦手な人の場合)

【費用面】
・土地自体は不動産の資産として残る
・マンションのような管理費や修繕積立金などがかからない
・駐車場代がかからない

【費用面】
・劣化や老朽化の修繕費を自分で工面しなければならない

戸建ての大きな魅力は、購入したら土地も建物もすべてがご自身のものになる点でしょう。たとえ建物自体が経年劣化しても、土地自体は資産価値として確実に残るというところがマンションとの決定的な違いです。

ーーなるほど。もうひとつの大きなメリットは「自由度の高さ」ですね。注文住宅の場合、間取りを自由に決められますし、庭やガレージに凝ることも可能です。

その通りですね。一方で、その自由さの裏返しとして、庭の手入れや外壁メンテナンス、冬の雪かきなど、すべてを自分で管理しなければならない側面もあります。そうした点を踏まえると、「家は所有物」と捉え、自分たちの手で住まいを育てていくことに喜びを感じる方に向いているといえます。

マンションを買う=「管理を買う」こと

ーー戸建てと比べてマンションはいかがでしょうか?

あくまで一般論ではありますが、マンションには、次のようなメリット・デメリットがあります。

マンションの一般的なメリット・デメリット
メリット デメリット

【生活面】
・雪かきの必要性が比較的少ない
・防犯面でのセキュリティが高い
・階数や向きによっては景色が良い(花火が見えるなどの眺望の良さを売りにした物件もある)
・線状降水帯、集中豪雨などによる水害(家屋浸水など)被災が少ない
・階数が高い部屋の場合、虫が少ない
・物件によっては共用施設などが充実している
・立地などの利便性が良い場合が多い(駅に近いなど)

【生活面】
・立地の評価や、管理状況によって資産価値が左右される
・タワーパーキングの場合、出し入れが平面の駐車場に比べて時間がかかる場合がある
・駐車スペースの確保(駐車台数の制限や駐車場代の負担)
・近隣への音など配慮が必要

【費用面】
・再販性が高い

【費用面】
・管理費、修繕積立金、駐車場代がかかる
・修繕積立金が将来値上がりする可能性がある

ーー新潟県の場合、地域や年によって積雪量も変わってきます。とはいえ、どこに住んでいようと雪(かき)は無視できない要素ですよね。

そうですね。マンションの場合、雪かきは基本的に管理会社や管理組合が対応してくれる物件が多く、朝の忙しい時間や帰宅後に雪かきする必要は少なくなります。一方、そうした対応がない場合は、たとえば自分の車の周辺だけは自分で雪かきしなければならないケースもあります。

ーーその一方で、デメリットにある修繕積立金の値上がりが気になります。

現在、新築マンションの多くは、修繕積立金を5年後、10年後と段階的に上げていく「段階増額積立方式」を採用しています。住宅ローンの返済に加え、購入時に予定していなかった金額の修繕積立金を支払うことになると、負担が大きくなる可能性も十分に考えられます。

ーーそれは知りませんでした。購入する際は資金計画に最初から組み込んでおかないといけないですね。

だからこそ、私は「マンションは管理を買うものだ」と常々お伝えしています。管理状況がずさんだと、計画通りに修繕ができず建物の劣化が進み、資産価値の下落に直結しかねません。

ーー「管理を買う」ですか。

はい。中古マンションを検討する際は、可能であれば管理組合の議事録などをチェックし、修繕積立金の滞納者がいないかなど、管理状況をしっかり把握することが重要です。

戸建てとマンション、お金の面はどう違う?

ーー生活面での違いはよく分かりました。お金の面について詳しくお聞きしたいです。

新潟市を例にとると、現在(令和7年8月)の物件価格の相場は、新築の建売住宅で最低価格2,000万円台から、新築マンションは中心部でファミリー向けなら3,000万円台後半からがひとつの目安といっていいでしょう。もちろん、立地条件や中古物件や注文住宅など選択肢によって価格は大きく変わります。

ーー購入価格に加えて、住み始めてからかかるお金、つまりランニングコストも重要ですよね。

おっしゃる通りです。戸建てとマンションのランニングコストをそれぞれ見てみましょう。

戸建てのランニングコスト
管理費 なし
修繕積立金 なし(各家庭の裁量で積立)
駐車場代 なし(敷地内に駐車スペースがない場合は必要)
固定資産税 約10~20万円/年
火災保険 約2万円/年
マンションのランニングコスト
※費用は一般的な目安です
管理費 約1万~2万円/月
修繕積立金 約1万~2万円/月
駐車場代 約5,000円~2万円/月
固定資産税 約10~30万円/年
火災保険 約1万円/年

ーーランニングコストを見ると、やはりマンションは管理費などがかかる分、月々の負担が大きいと思ったほうが良さそうですね。加えて、固定資産税の違いも気になるポイントです。

固定資産税については立地条件によりケースバイケースです。たとえば利便性の高い場所にあるマンションの場合、物件価格の内訳は建物より土地代金が高くなることが多く、それに応じて課税額も上がる傾向にあります。

対して戸建て住宅、特に郊外に建てられた戸建ての場合は、土地代金が安いケースが多く、経年により建物の固定資産税評価額は減額されるため、マンションに比べて固定資産税が安くなりやすい傾向にあります。ただし、これらはあくまで傾向に過ぎません。というのも、戸建て住宅より面積が小さいマンションの場合は、固定資産税が戸建てよりも安くなることも珍しくないため、一概に比較できないポイントでもあります。

ーーなるほど。それと、購入時にかかる「諸費用」についても知っておきたいです「諸費用が意外と高くつくからバカにならない」という話をよく耳にするもので……。

ここが重要なポイントです。よく「購入時の諸費用は物件価格の何割か」という疑問を持たれる方がいるのですが、この考え方は一度忘れたほうがいいでしょう。「◯割」と明確に言えるケースがほとんどなく、物件によってかなり差が出るからです。

特に戸建ては「外構工事費」など、物件価格と連動しない費用が多いので、総予算がいくらになるのか、詳細な資金計画を最初に作ってくれるハウスメーカー・工務店を探すことが大切です。また、銀行によっては諸費用に住宅ローンを使えない場合があることも覚えておいてください。

第四北越銀行からのお知らせ
第四北越銀行の住宅ローンでは、住宅購入時にかかる諸費用を含めてご利用いただけます。商品内容についてくわしくはこちらをご覧ください。

ーー戸建てもマンションも、将来的な資産価値がどうなるかも気になるポイントかと思います。

売りやすさ、買い手の見つかりやすさという点では、新潟市の中心部や駅に近いマンションに分があるかもしれません。

しかし、住まいとして考えた場合、数字上の価値が上がっても、売却しなければ現金にはなりません。資産価値を念頭に置いて選ぶより、あくまで住み心地や自分たちのライフプランを優先して考えることが大切です。

結局「どんな暮らしを送りたいか」がいちばん大切

マンションと戸建、それぞれの要素の組み合わせで悩む夫婦

ーー結局、新潟県内で住むならどちらを選んだらよいのか、それぞれのメリット・デメリットがあるだけに、かえって悩んでしまいそうですね。

多くの方が悩むポイントですよね。「向いている人」という観点で少し整理してみましょう。

戸建てに向いている人
  • 間取りを自由に決めたい
  • 庭で家庭菜園やDIYを楽しみたい
  • 周囲への音を気にせず、子どもをのびのび育てたい
  • 車を複数台所有している(したい)
  • 自分たちのペースで修繕計画を立てたい
マンションに向いている人
  • 通勤や買い物の利便性を重視したい
  • 庭や外壁、ガレージのメンテナンスはなるべくしたくない
  • 冬の雪かきなどの手間を極力省きたい
  • 共働きなどで家にいる時間が短く、防犯面が気になるためセキュリティ面を重視したい
  • 将来、物件を売却する可能性が高い

ーー自由度を優先するなら戸建て、利便性や管理の手間を重視するならマンションと言えそうですが。

おっしゃるとおりですが、あくまで一般論に過ぎません。私の答えはシンプルです。お金の面だけで考えず、「どちらに住みたいか」「自分や家族がいきいきと暮らすのにどちらが向いているのか」というご自身の気持ちを大切にしてください。
その上で、「住まいに何を求めるか」を考えてみましょう。

ーーこうして見てくると、どんな点を重視したいのか、どんな暮らしがしたいのかを見つめ直す必要があると感じました。ただ、実際に購入するとなると、資金計画など専門的なことも多く、自分たちだけで考えていくのは少し不安です。

もちろんです。住まいの購入は人生で大きな決断ですし、ほとんどの方にとって一番高い買い物ですから、専門家の視点を活用するのが賢明な判断といえます。特に、資金計画や住宅ローンについては、お金のプロに相談してみると、より具体的なイメージが湧きやすくなります。まずはご自身のメインバンクを頼ってみるのもひとつの手ではないでしょうか。

第四北越銀行からのお知らせ
住宅購入にあたっては、さまざまな検討事項がありますので、新潟県内の各エリアで相談窓口を設置している第四北越銀行コンサルティングプラザにご相談ください。土日も営業しています。

【教えてくれた人】市川貴博さん
ファイナンシャル・プランナー(CFP ®)。住宅会社の営業スタッフを経て、株式会社エフアンドエス・エキスパートを設立。現在は同社の代表として、住宅取得支援からライフプランや家計に対する専門的なアドバイスを行なっている。住宅と家計のFP市川貴博「そこまで言うか~!?」チャンネルを運営。

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