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【注文住宅】建てるならどんな家にしたい? 人気の住宅設備とオプションを専門家に聞いてみた

相澤良晃
イラスト
前田はんきち
UPDATE
2021/06/17/
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そろそろマイホームが欲しいけど、設備やオプションがありすぎて、どれを選べばいいのかわからない……。そこで、健康に暮らせる家づくりの専門家・ヨシローさんに、最近のトレンドやおすすめのオプションについて聞きました!

エネルギーを自給自足する「ZEH」が推奨されている

さっそくなんですけど、最近はどんな住宅が人気なんですか?

中野中野

やはり「ZEH」(ゼッチ)ですね。

ヨシローヨシローさん

ゼッチ?

中野中野

はい、ZEHは「Net Zero Energy House」(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、「ゼロエネルギー住宅」と言ったりもします。いわば、「エネルギーを自給自足できる家」。省エネ性能を高める一方、太陽光発電システムなどで自家発電し、外部のエネルギーを使わないことをめざした家づくりです。

ヨシローヨシローさん

ZEH(ゼッチ)の図

世界的に「カーボンニュートラル」「脱炭素社会」が注目されるなかで、日本も「化石燃料に頼らない家づくり=ZEH」の普及を進めており、ハウスメーカー各社も商品ラインナップを充実させてきています。

ヨシローヨシローさん

なるほど。いまは住む人にだけでなく、地球環境にもやさしい家づくりが求められているんですね。

中野中野

断熱性能を高め、常時室温を18℃以上に保つ

住む人が健康に暮らせる家づくりでまず大事なのは、「高気密・高断熱」です。高気密・高断熱の家では、一年中、少ないエネルギーで家全体を快適な温度で保てるようになります。

反対に、断熱性が低いと居室間の温度差が大きくなりやすく、急な温度変化によって血圧が乱高下したり、脈拍が変動したりする「ヒートショック」のリスクが高まります。健康のためには、家の中の温度を常時18℃以上に保ち、そして居室間の温度差を5℃以下にしてください。

ヨシローヨシローさん

ヒートショックって、心配なのはお年寄りだけじゃないんですか?

中野中野

いえいえ、若い方でも要注意なんです。室温の変化が激しいと、若い方でも血管の拡張収縮が繰り返されて血圧の上昇や動脈硬化が進行して脳梗塞を発症する可能性があります。

ヨシローヨシローさん

それは怖い……。

中野中野

病気のリスクのことを考えると、断熱性能に関してはケチらずに、しっかり予算をかけるようにしましょう。とくに屋根側と床側の断熱性能は、夏の室温上昇や冬の底冷えを防ぐことにつながりますので、壁面よりも意識してください。

ヨシローヨシローさん

ZEHを実現するには、断熱性能を上げるだけでなく、発電もする必要があるんですよね?

中野中野

はい。最も一般的なのは太陽光発電システムです。この電気で自宅のエネルギーをすべて賄うことができれば、ZEHの達成です。一般的な住宅から断熱性能の向上やHEMS(ヘムス)※設置などを含めると一式200万円程度でZEHにすることができます。

ヨシローヨシローさん

HEMS(ヘムス)…「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略。 家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムのこと。

200万円というと結構な金額ですね。

中野中野

ええ。ですが、20年ほどで費用を回収できるといわれています。ずっと電気代が無料、あるいは今より下がるわけですから。

ヨシローヨシローさん

でも、冬の新潟は、ほぼ曇り空……。ちゃんと発電できますか?

中野中野

問題ないと思います。最近の太陽光発電システムは性能も良く、近くに日光を遮る高い建物でもないかぎり、安定的にエネルギーを生み出してくれるようになっています。
新潟は冬に雪が積もると発電量が落ちてしまいますが、夏の発電量は多く、推計発電量を上回ることができると思います。

安い設備ではありませんが、新築時に設置すれば住宅ローン控除の対象にもなるので、ぜひ前向きに導入を検討してみてください。

ヨシローヨシローさん

あると便利な「洗濯室」と「ユーティリティールーム」

この前ハウスメーカーのショールームをのぞいてみたのですが、設備やオプションがありすぎて迷いそうです。ヨシローさんが「これだけは絶対に外さないほうがいい!」っていうのありますか?

中野中野

それはもう、洗濯室ですね。ぼくの家にもつけました。洗濯機から洗濯物を取り出して、すぐに干せるスペースがあるのはとても便利ですよ。

ヨシローヨシローさん
洗濯室

ヨシローさん提供

広さは2.5畳程度で充分。室内干しだとちゃんと乾かないんじゃないかと心配される方もいますが、「湿度」「室温」「風の動き」の条件が整えば、室内でも洗濯物はちゃんと乾きます。

反対に、洗濯物を干すための2階のバルコニーは、検討の余地があります。洗濯物を干したり取り入れたりするたびに、何度も階段を上り下りする生活が10年、20年と続くことを想像してみてください。バルコニーは他にも雨漏りのリスクや虫の侵入などもあり、本当に必要か検討してみてください。

ヨシローヨシローさん

たしかに、冬は室内干しだし、専用のスペースがあると便利ですね……。ほかに設置して良かったのは?

中野中野

リビングに隣接した「ユーティリティールーム」(多目的部屋)ですね。

ヨシローヨシローさん
ユーティリティルーム1

ヨシローさん提供

いまは子どものプレイルームとして使っていて、普段は仕切りを開放してリビングとひと続きにしています。来客があったときには戸を閉めて、おもちゃで散らかった部屋を隠すことができます。

ヨシローヨシローさん
ユーティリティルーム2

ヨシローさん提供

おお、それは便利!

中野中野

子どもがもう少し大きくなったら勉強部屋にするつもりです。成人して家を出ていったら自分の書斎に、年を取って2階への上り下りが大変になったら寝室に……というように、家族の成長に合わせて使い方を自由に変えられる「ユーティリティールーム」がひとつあると重宝すると思います。

ヨシローヨシローさん

ほかにリビングのポイントは?

中野中野

快適な空間にするために、照明にこだわってみてください。天井に光源を埋め込む「ダウンライト」は、上部がすっきりして開放的になりますよ。

ヨシローヨシローさん
ダウンライト

ヨシローさん提供

少し値段が高くなりますが、調光・調色式のダウンライトを設置することをお勧めします。映画を観るときに光量を落としたり、夕食時に温かみのある色にしたりと、シーンに合わせて光をさまざま変更できます。リビングで過ごす時間がより楽しくなると思いますよ。

ヨシローヨシローさん

「食洗機」と「自動洗浄機能付きレンジフード」で家事を時短

キッチンのお勧めのオプションはありますか?

中野中野

食洗機です。いまはシステムキッチンに組み込むビルトイン型が主流。本体の高さの違いで「浅型」(約45㎝)と「深型」(約55㎝)に大きく分かれ、深型のほうが価格は高いのですが、一度に洗える食器の数が10点ほど多いのがメリットです。とくに4人以上のご家族は深型を選ぶことをお勧めします。

ヨシローヨシローさん

食洗機! 欲しかったんですけど、高くて買えてなかったんです。

中野中野

最近の食洗機は洗浄性能がよく、専用の洗剤を含んだ60℃以上の熱湯で効果的に汚れを落としてくれます。水道代、洗剤代などが手洗いよりもかからず、年間、数万円程度の節約になるという試算もあります。家事の手間だけでなく、家計の負担も減らしてくれるわけです。

ヨシローヨシローさん

食洗機は、ぜひ導入したいと思います!

中野中野

あとは、換気扇の自動洗浄機能付きレンジフードもお勧めです。メーカーによっては、ボタン一つで自動洗浄してくれるものもあって、月1回の自動洗浄で、約10年間、ファンフィルターを取り外して掃除する必要がなくなります。

ヨシローヨシローさん

あれ洗うのかなり大変なんですよね。油でベトベトだから。

中野中野

子どもをお風呂に入れるなら「引き戸」が便利

浴室はどんなポイントに気をつければいいですか?

中野中野

浴室は、ドアの形状で使い勝手がだいぶ変わります。賃貸物件などではスペースを有効利用できる「折れ戸」が多いのですが、せっかくの注文住宅ですから「開き戸」や「引き戸」も検討してみてください。

「開き戸」は、折れ戸よりも構造がシンプルなので壊れにくく、掃除も簡単です。ただし、開閉にスペースが必要なのがネックです。たとえば、ご家族の方が浴室で急に倒れてしまった場合、「開き戸」だと体がぶつかって開けることができなくなるという最悪の事態も考えられます。

ヨシローヨシローさん
開き戸

マネーまるわかり編集部で撮影

その点、「引き戸」は開閉のためのスペースは必要ありません。開けっ放しにしておいても浴室のスペースが狭くならないですし、子どもをお風呂に入れる際などには便利です。

ヨシローヨシローさん

そういえば友だちの家は、子どもをお風呂に入れることを考えて、引き戸にしたって話を聞きました。

中野中野

デメリットは引き込みのレール部分の掃除に少し手間がかかることと、「折れ戸」「開き戸」よりも少し割高になることです。
メーカーによりますが、折れ戸が一番安く、開き戸は+2万円、引き戸は+4万円くらいですね。

ヨシローヨシローさん
引き戸

ヨシローさん提供

いやー、つけたいオプションがたくさんあって迷っちゃうな。どうやって取捨選択するといいんでしょう?

中野中野

そうですね、ついあれもこれもと設備やオプションを増やしてしまいがちですが、不必要な設備を省くことで費用を節約できます。勝手口、バルコニー、2階のトイレ、天窓、床下収納……など、本当に生活に必要なものなのかどうか、考えてみてください。

ヨシローヨシローさん

たしかに、標準仕様のなかにも、不必要な設備って結構ありそうですね。

中野中野

はい。いま、「おしゃれだから」と付けても、のちのち使い勝手が悪くなる設備もありますから。子育てを終え、高齢になったあとも、安心・安全で快適に暮らせる家づくりを心掛けてください。

ヨシローヨシローさん

今日はありがとうございました! あとは、いつ家を建てるかだな……。

中野中野

じつは、新型コロナウイルス感染症の影響で、昨年で終わるはずだった「住宅ローン控除13年」の期間が延長されたんです。2021年9月30日までに注文住宅を新築する契約を結べば、本来「10年間」の住宅ローン控除が13年間、受けることができます(※)。中野さんも、この機にぜひ。

ヨシローヨシローさん

※2021年5月31日現在の情報に基づきます。その他に控除を受けるための条件がございます。ご注意ください。

そうなんですね! さっそく、夫と話し合ってみます。

中野中野

▼住宅ローン控除の詳細はこちらの記事をご覧ください。
「借りた方がトクするって本当?」住宅ローン控除の活用法を徹底解説

【登場人物】

【教えてくれた人】
ヨシローさん

快適な暮らしアドバイザー。作業療法士としての経験を生かし、病気を予防するライフスタイル、住む人が安心できる家づくりの方法をYouTubeやSNS、ブログなどで発信。住宅会社の顧問として世代関係なく安心・安全に住み続ける家にするための「ヨシロー基準」をアドバイス。自身は2016年に注文住宅を新築し、妻と2人の娘と暮らす。

ヨシロー

【話を聞く人】
中野さん

最近結婚した31歳。ハウスメーカーで新潟に家を建てることを検討中。

中野

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