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「みんな、どうして投資はじめたの?」データでわかる投資の実情

服部ゆい
イラスト
ヤマモトミツノリ
UPDATE
2026/03/10
「みんな、どうして投資はじめたの?」データでわかる投資の実情

iDeCoやNISAの普及で身近になってきた投資。一方で、「投資」と聞くと「よくわからない」「はじめるのは何となく怖い」など、漠然と不安を感じて踏み込めない人もいるのでは?
そこで今回は、投資に関するデータを見ていきながら、ファイナンシャル・プランナーの山中伸枝さんに疑問をぶつけてみました。

なぜ、投資するとお金が増えるの? 預金とはどう違う?

――なぜ、いま貯蓄(預金)では資産を増やしにくいのでしょうか?

それは、長く続いた超低金利の影響で、預金の利回りがほとんど得られない時期が続いてきたことが大きな理由です。現在は金利が以前より上昇しているものの、依然として物価上昇や投資リターンに比べると見劣りする水準にとどまっています。
高度経済成長期は銀行を通じて多数の優良企業に資金が流れ、日本経済は飛躍的に成長してきました。銀行を介した「間接金融」の循環がうまくいく時代だったので、預金者にも高金利を還元できたのです。

――それがなぜ、変わってしまったのでしょう。

今では日本経済も成熟し、企業競争はさらに激化しています。株式や債券を発行し、金融市場から直接資金を調達する企業も増えました。金融のあり方が「間接金融」から、企業自ら資金調達する「直接金融」へと移行しているんですよ。

――昔と今とでは、社会のお金の流れ方が違うんですね。

はい。実際に直接金融への移行が進んでいる米国と日本の違いを見てみましょうか。日本はいまだに現金預金派が50%以上を占めていますが、米国は株式・投資信託の割合が大きいようです。「直接金融」を日本よりも多く取り入れている米国のほうが、運用リターンによる金融資産が右肩上がりになっていることが見てとれますね。

――米国と日本で資産の増え方が全然違いますね。株式や投資信託の保有が多いと資産が増えやすいのはなぜですか?

投資はお金に付加価値をもたらす仕組みだからです。
株式投資だと、企業の成長に伴い株価が上がり、値上がり益や配当金というリターンが直接投資家に還元されます。今の時代に資産形成を考えているのであれば、銀行預金だけでなく、株式や投資信託といった「直接金融」の仕組みも取り入れていくのがおすすめです。
ただし、投資にはリスクがあるため、元本保証の現預金は欠かせません。現預金と投資商品をバランスよく持つことが重要です。

年代別に見る投資行動「みんなどれくらい投資している?」

――とはいえ、投資先を選ぶのは難しいですよね……。

そこで役立つのが投資信託です。
投資信託は、投資家から集めたお金を運用の専門家が代わりに運用してくれる仕組みです。20代では株式より投資信託の保有割合が多いんですよ。

――若い世代では、預貯金の次に投資信託の保有割合が多いんですね。投資信託が選ばれている理由は?

投資信託は、株式投資の難しい部分をまるっと解決してくれる仕組みです。
日本の上場企業は4,000社近くあり、まず会社選びが大変です。さらに日本株の取引は100株単位で、1銘柄に投資するだけで数十万円、時には数百万円かかることも。また、株価はリアルタイムで動くため、購入タイミングがわからないと悩む人もいます。

投資信託であれば、銘柄選びは運用会社が行います。数百・数千の株式や債券に分散投資できるため、特定の企業に依存することなく金融市場全体の成長を享受できます。
投資金額は1,000円あれば始められますし、1日1回しか価格が変わらないため、株式のように投資タイミングを気にする必要もありません。

若い世代をはじめ、幅広い世代にNISAが普及したことも、投資信託利用を促進していますね。

【NISA口座数の増加傾向】各年3月末時点でのNISA口座数

――たしかに、ここ数年でNISAなどの投資が広がった気がします。なぜでしょう?

「貯蓄(預金)から投資へ」という政府の旗振りがある中、コロナ禍で将来の資産形成を真剣に考える人が増えたことが影響しているのではないかと思います。同時期にSNSやYouTubeのコンテンツが急増し、金融知識に触れる機会が拡大したことも影響しているでしょう。

――若いうちにNISAで投資を始めておくメリットは?

投資を通じて世界経済への関心が高まり、経済の勉強につながったり、種々のニュースや出来事の理解を深めていくきっかけになるのは大きなメリットと言えます。若いうちから経済に関心を持っておくと、お金との健全な関係性を築いていくことにつながるでしょう。
また、若い人は時間的余裕があるため、長期的に経過を見ていく必要がある投資信託をはじめるのにもってこいです。20代から始めると30~40年かけて経済成長のリターンを得られるため、早く始めるほど有利な可能性があります。

みんなが投資を始めたきっかけは? 私はどう始めればいい?

――どんなきっかけで投資を始める人が多いのでしょうか?

こちらのグラフを見てみると、きっかけはさまざまです。

【投資経験者への質問】資産運用を始めたきっかけ

【投資未経験者への質問】資産運用を行わない理由

―― 運用を行わない理由「資金がない」「知識がない」「不安を感じる」これ、よくわかります。

皆さんそう仰るんですよ。でも、投資信託なら1,000円から始められるので、失敗してもそこまで大きな損失にはなりませんよね。まずは1本投資信託(ファンド)を買ってみて、運用しながら徐々に知識を身につけていけば良いのではないでしょうか。

――たしかに。1,000円なら、投資の本を買うようなものですよね。最初の1本はどう選べばいいですか?

基本的には、世界の経済成長を取り込める「全世界株式型のファンド」がおすすめです。逆に、特定の業種やテーマに偏ったファンドは下落時の回復に時間がかかりやすいので要注意ですよ。

――購入後に投資の知識を身に付けるには、どうすればいいでしょうか?

運用会社のマンスリーレポート(月報)を読みましょう。月報には最新の運用実績と経済動向、投資信託の運用銘柄などの情報がまとめられています。運用担当者のコメントなどもあるため、継続して読むことで投資への理解が深まるはず。

マンスリーレポートの読み方についてはこちら▼
はじめての投資信託「交付目論見書」「マンスリーレポート」の読み方

マンスリーレポートを読む人

――マンスリーレポートだと緊急時の対応はわかりませんよね? 下落時はどうすれば?

下落局面で下手に動いてしまう人が損をする、という事象も拝見することがあります。焦って全部売却した後、市場がすぐ回復して「損切りする必要なかったのに」というパターンですね。そのため、下落局面は「焦らずに回復を待つ」が最適解です。ただし、これが成り立つのは「長期的に回復が期待できる投資対象」を選んでいる場合に限ります。

ある程度焦ることなく待つのに適している投資信託が、先ほどおすすめした「全世界株式型のファンド」です。このファンドは、特定の国や企業に賭けるのではなく、アメリカ・日本・新興国を含む世界中の企業に広く分散して投資する仕組みになっています。どこかの国や地域が一時的に不調でも、別の地域や産業がそれを補うため、ひとつの出来事で価値がゼロになるリスクが極めて低いのが特徴です。

――焦らずに待つ、と言っても景気が悪くなれば値下がりするのでは。この先の世界経済って成長し続けるのでしょうか?

私たちの生活って、数十年前と比べて格段に便利で、安全で、豊かになっていますよね。これは経済が成長してきた証なんですよ。逆に経済が成長しない未来というのは、今よりも不便で、不衛生で、貧しい社会に後退することを意味します。数十年後、どちらになると思いますか?

――そう言われると、数十年先にはもっと便利な社会になっている気がします。

そう思えるのは、経済成長に期待しているからです。
投資の原点って「お金は巡りめぐって私たちの暮らしを豊かにしている。私たちは世の中の前進を望んでいて、今後もそうなる」と、未来に期待することなんです。

働いてお金を稼いでいる時点で、私たちはすでに経済の一員です。ただし、経済成長による恩恵を受けられるのは投資をしている人だけ。未来に期待できるのであれば、投資を通じて経済の一員という感覚を持ち、経済成長のリターンを受けとる小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

【教えてくれた人】山中 伸枝さん
ファイナンシャル・プランナー。株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役、FP相談ねっと代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。お金のアドバイザーとして年金・資産運用、ライフプランの相談などで全国を飛び回りながら、ウェブやマネー誌などで情報発信を続けている。著書に『会社も従業員もトクをする! 中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方』 (同文舘出版)他、多数。

山中 伸枝さん

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