キャッシュレス決済が進む中、改めて注目されているデビットカード。なぜならデビットカードは、現金と似た感覚で利用できて、口座残高の範囲内でしか使えないため使いすぎの心配がないなど、実はとっても使い勝手の良い選択肢だから。
そこで今回は30年にわたり、デビットカードやクレジットカード研究のオピニオンリーダーとして知られる岩田昭男さんに、デビットカードの特徴や使い方について教えていただきました。
デビットカードなら、口座残高=使える金額で管理もラクラク
――そもそも、デビットカードとはどのようなものなのでしょうか?
デビットカードは、現金を使わずに支払いを済ませられるキャッシュレス決済の1つです。デビットカードなら、使った時にすぐに銀行口座から引き落とされるので、現金払いに近い感覚で使うことができます。また、口座の残高までしか使えないので、使いすぎる心配がありません。
――残高=使える金額なら、管理もしやすそうですね! ちなみにデビットカードにも種類があると聞きましたが、どのような種類があるのでしょうか?
キャッシュカードで支払いができる即時決済サービスで、ほとんどの金融機関のキャッシュカードに付帯している「J-Debit」と、JCBやVisa、Mastercard®といったクレジットカードの国際ブランドから発行される「国際ブランド付きデビットカード」の2種類があります。
J-Debitは加盟店のみで利用が可能ですが、提携店舗は日本国内にしかなく、海外やネットでの使用はできません。一方、国際ブランド付きデビットカードは、国際ブランドと提携している店舗であれば海外でも国内と同じように利用することができます。両者とも、店舗のレジ付近などに「J-Debit」や「国際ブランド」のロゴマークが表示されていれば利用できます※。
※ガソリンスタンドなどの一部店舗では、上記ロゴマークが表示されている場合でもデビットカードが利用できないことがあります。
――なるほど、利用の際はレジ付近を確認するようにします。また利用できることがわかったら、どのように決済すれば良いかも知っておきたいです。
クレジットカードと同じように、コンビニやスーパーなどの提携の店舗でデビットカードを提示して「カード払いで」と伝えればOKです。
その後、支払い回数を聞かれた場合は、「1回払い※」と伝え、決済端末にカードを差し込み暗証番号の入力またはサインをします。カードを利用すると銀行に利用情報が送信され、ご利用金額が口座から即時引き落としされます。
タッチ決済対応マークがついているデビットカードであれば、電子マネーのように端末に軽く触れるだけで決済が行える「タッチ決済」を利用することも可能です。タッチ決済はデビットカード本体ではもちろん、スマホのApple Payや Google Pay™にカード情報を登録すれば、スマホから決済することもできます。
※デビットカードは分割払いができません。
――決済方法は、クレジットカードと同じなんですね。そう思うと、デビットカードとクレジットカードは何が違うのでしょうか?
主な違いは支払い方法にあります。デビットカードはカードの支払いと同時に、商品やサービスの代金が銀行口座から即時に引き落とされます。一方、クレジットカードは、商品やサービスを受け取った後でまとめて支払いの請求がくる仕組み。口座に残高がない場合でも、限度額までなら買い物できてしまうので、管理不足で使いすぎてしまうデメリットもあります。
その他、デビットカードとクレジットカードの違いをこちらにまとめました。
デビットカード | クレジットカード | |
---|---|---|
支払いの タイミング |
即時払い | 後払い |
支払い方法 | 自分の銀行口座から支払う | カード会社が一時的に代金を立て替えて、 請求月(1ヵ月〜2ヵ月後が目安)に請求先 口座から引き落とされる |
支払い回数 | 1回払いのみ | 1回払い、分割払い、リボ払い |
与信審査 | 原則不要 | 必要 |
年齢制限 | 原則15歳以上 | 原則18歳以上 |
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クレジットカード、どれを何枚持つのが正解? 知っておくべきメリットとリスクとは
デビットカードを使うなら知っておきたいメリットとデメリット
――今ではクレジットカードやQRコード決済など様々なキャッシュレス決済方法がありますが、デビットカードを使うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
先述の通り、「口座にある残高しか使えない」という特徴を筆頭に、デビットカードには次のようなメリットがあります。
1. 使いすぎを防止できる
銀行の口座残高を超えて使うことができないので、身の丈を超えたお金の使いすぎを防げます。また自分が利用できる金額が口座残高とイコールなので管理しやすく、利用限度額を設定することもできるので、キャッシュレス決済に慣れていない方にもおすすめです。
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2. チャージ不要で使える
前述の通り、デビットカードは銀行口座から直接引き落としされる仕組みのため、プリペイドカードやQRコード決済のように、事前にチャージをする必要がありません。わざわざチャージ用の現金を持ち運ぶ必要もなく、アプリを開いてチャージする金額を選んで……という手間も発生しないので、スムーズな支払いが可能です。
3. 原則審査不要で持つことができる
クレジットカードは与信審査が必須ですが、デビットカードであれば原則として新しくカードを作る際の与信審査がいりません。銀行口座があれば高校生でも持つことができます。
4. 海外でも利用できる
国際ブランド付きデビットカードの場合、所有カードの国際ブランド加盟店なら海外でも国内と同じように利用することができます。
※手数料がかかる場合があります。
5. 不正利用などに備えた補償がある
カード会社が不正利用と認めた場合、補償が適用されます。また、不正利用の対策として、利用する度に登録したメールアドレスに明細が送付される通知設定も可能です。
――一方、デビットカードにはデメリットもあるのでしょうか?
デビットカードは口座残高までしか使えなかったり、1回払いしか選択できず、分割払いやリボ払いはできなかったりする点では、クレジットカードに比べて融通性がないとも言えます。またキャッシング機能やETCカードの発行もできません。このように、機能は限られていますが、シンプルに「キャッシュ」を「レス」化することに特化しているカードとしては、手軽で使いやすい決済手段と言えるでしょう。
――利用時の注意点があれば教えてください。
引き落とし口座に入っている残高以上は利用できないので、もし口座残高以上の金額をデビットカードで支払おうとした場合、エラーとなり引き落としされません。また提携していない店舗では利用できないので、事前に確認するようにしましょう。
どう使うのがいい? デビットカードの賢い使い方
――シンプルさが売りのデビットカードではありますが、最後に賢い使い方があれば知りたいです!
デビットカードの良さを引き出しつつ、機能面で足りない部分をカバーするなら、デビットカードとクレジットカードのダブル使いで用途に応じて使い分けるのがおすすめです。
たとえば、生活費は一定金額を口座に入れたデビットカードで管理しつつ、ポイントやキャッシュバックを重視して買い物をする時は、クレジットカードを利用する、といったイメージです。
また手元にお金がある時はデビットカード、給料日前など手元にお金がない時はクレジットカードという使い分けや、日常的な店舗での買い物はデビットカード、大きな買い物はクレジットカードという使い分けをするなど、自分の中でルールを決めておくといいでしょう。
――クレジットカードは自由度も高い分、自分の裁量次第で使いすぎてしまうこともあるので、メインのカードはデビットカードにするというのもありかもしれませんね。
そうですね。クレジットカードの使いすぎが心配な場合は、支払い可能額を超えた買い物を防ぐためにデビットカードを使うのも良いでしょう。キャッシュレス決済は年々種類が増えていますが、便利になる分、お金の流れが見えづらいという側面もあります。それぞれの特徴や自分の性格に合わせ、上手に使い分けることが大切です。
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