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ふるさと納税はやらないと損!? 愛好家オススメの方法

阿部桃子
イラスト
前田はんきち
UPDATE
2024/04/24/
ふるさと納税の仕組みイメージ

自分が応援したい自治体に寄付ができ、返礼品を受け取れる制度「ふるさと納税」。ふるさと納税は「おトク」と聞くものの仕組みなどがよくわからず、始めたいのに始められないという方も多いのではないでしょうか? そんな方のために、ふるさと納税利用歴12年、節約アドバイザーとして活躍する和田由貴さんに、ふるさと納税の基礎知識、おさえるべきポイントや注意点、活用法をレクチャーしてもらいました。

どんな人におトクな制度なの? ふるさと納税のメリットは?

――そもそもふるさと納税とはどういった仕組みで、どんなメリットがあるのでしょうか?

ふるさと納税は、今ご自身が住民票をおいている(住んでいる)自治体以外の例えば出身地や応援したいと思う自治体に寄付できる制度です。一般的に自治体に寄付した場合には、確定申告を行うことで、その寄付金額の一部が所得税及び住民税から控除されますが、ふるさと納税では原則として自己負担額の2,000円を除いた金額が控除の対象となります。

さらにうれしいのは、寄付した金額の3割以内に相当する返礼品を受け取ることができる点です。

ふるさと納税の仕組み

――寄付額の上限はどのように決まるんですか?

基本的に収入が多いほど寄付上限額も多くなりますが、家族構成に応じて変わってきます。

全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安

※1「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。
※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
総務省「ふるさと納税ポータルサイト」より抜粋

――家族構成によってけっこう変わるんですね。

はい。扶養控除が多いと、扶養控除によってすでに所得税や住民税の控除を受けている状況にあるので、寄付金の上限額は下がります。

この寄付金の上限額はふるさと納税のポータルサイトや総務省のホームページで、収入、扶養家族の人数等を入力するだけでシミュレーションできます。

――簡単にシミュレーションできるのはいいですね。では、収入がない、もしくは収入が低い場合は、ふるさと納税を行うメリットはないのでしょうか?

ふるさと納税は所得税や住民税が控除されるものなので、住民税非課税世帯や、専業主婦(主夫)の方にメリットはないです。

また仮に、シミュレーションで寄付の上限額が1万円とすると、返礼品は3割以内と決まっているため最大でも3,000円分ぐらいのものとなります。2,000円の自己負担額を考えると約1,000円分しか得をしません。

寄付額の上限が1万円よりも少ないのであれば、金額的なメリットはあまりないということです。

ふるさと納税の始め方と注意点

PCの前でふるさと納税の返礼品を選んでいる

――ふるさと納税はどうやって始めればいいのでしょう?

ネットで「ふるさと納税」と検索すると、さまざまなポータルサイトが出てきます。サイトを開くと、地域や返礼品のカテゴリー、ランキング別に掲載されています。
ネットショッピング感覚で選び、簡単に申し込み手続きができますよ。あらかじめ応援したい自治体が決まっているなら、自治体に直接申し込むこともできます。

――ネットショッピングする感覚と聞いて、一気にハードルが下がりました!

ただし、寄付の控除を受けるためには、申請を忘れずに行ってください。確定申告が必要な方は確定申告でできますし、会社員の方などで確定申告をする必要がない方は寄付する自治体数が5つ以内であれば、ワンストップ特例制度を使うと簡単です。

――ワンストップ特例制度とはなんですか?

ワンストップ特例制度は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」をダウンロード、必要事項を記入し、寄付した自治体に送付して申請するだけの便利な仕組みです。また、自治体によっては、アプリとマイナンバーカードを利用して申請することもできて、書類の準備や郵送をする必要がないので便利ですよ。

翌年の控除を受けるためのスケジュールは以下の通りです。

ワンストップ特例制度利用のスケジュール

前年1月1日〜12月31日までに寄付したふるさと納税は、翌年の1月10日必着で「ワンストップ特例制度」の申請書を自治体に送付する必要があります。間に合わなかった場合は確定申告が必要になりますので注意しましょう。
確定申告の期間は例年2月16日~3月15日です。このスケジュールも把握しておくといいでしょう。

――ふるさと納税分はいつから控除されるのでしょうか?また、控除されているかどうか確認する方法はありますか?

寄付をした翌年の6月の給与から、1年間住民税の控除が適用されます。
控除されているかどうかの確認方法について、まず、ワンストップ特例制度を利用した方について説明しますね。ワンストップ特例制度の場合、住民税が控除されますので「住民税決定通知書」の摘要欄をご確認いただければと思います。摘要欄に「寄付金税額控除額:〇〇円」と記載されていますので、その金額が【ふるさと納税で寄付した額-2,000円】となっていれば問題なく控除されています。ふるさと納税以外でも控除を受けている方は、【ふるさと納税で寄付した額-2,000円】より大きくなっている場合もあります。
※摘要欄に記載のない自治体もございます。また、ワンストップ特例制度を使うと、所得税の還付金は発生せず、全額住民税からの控除となりますが、税金から控除される総額は、確定申告を行った場合と同じになります。

確定申告をされた場合は所得税の還付も行われます。所得税に関しては、確定申告の控え「還付される税金」欄に還付金が記載されています。住民税に関してはワンストップ特例制度の場合と確認いただく場所は同じです。所得税の還付金額と住民税の控除金額の合計が【ふるさと納税で寄付した額-2,000円】になっていれば問題ありません。

――早速「ふるさと納税」で検索してみたのですが、たくさんのポータルサイトがあって迷いますね。

ポータルサイトによって、取り扱い自治体数、返礼品の数や情報量にもばらつきがあるので、まずは情報量の多いサイトを見てみるといいでしょう。また、いつも利用しているショッピングサイトがふるさと納税サイトも併設しているなら、新たな設定なしですぐ使えますし、ポイントやマイルが貯まるメリットもあります。さらに、クレジットカードでふるさと納税サイトの決済をすると、決済分のポイントも付きますよ。

――貯まったポイントで通常のショッピングもできますね。

そうですね。ただし、サイトの利用者名義には注意してください。夫婦でショッピングサイトを共有していて、どちらかの名義で登録しているということもあるでしょう。例えば、妻名義のショッピングサイトでふるさと納税を申し込むと、妻がふるさと納税をしたことになります。夫の所得税や住民税を控除したい場合は夫名義のショッピングサイトでふるさと納税をしなければなりません。既に登録しているショッピングサイトからふるさと納税を行う場合には、まず名義を確認してから申し込む必要があります。

――それは要注意ですね。ほかに注意すべき点はありますか?

控除の上限額を超える寄付をすると、超えた分はただの寄付になってしまうので注意が必要です。
また、自分が住んでいる自治体に寄付はできますが、お礼の品を受け取ることはできません。たとえば新潟県新潟市に住んでいる人は新潟県と新潟市に寄付してもお礼の品はもらえないということです。ただ、新潟県内の他の市町村に寄付すればお礼の品をもらうことはできます。

また、前年ではなく今年の1月1日から12月31日までの収入で控除限度額が決まるので注意が必要です。それから引っ越しをした場合も、翌年1月1日時点の住所での手続きが必要になります。控除手続き前か手続き後かにより手続きが変わってきますので、詳しくは納税したポータルサイトや自治体にご確認ください。

ふるさと納税のベテランがアドバイス! 上手に楽しく活用する方法

大量のフルーツや魚介が届いて戸惑う女性

――ポータルサイトを見ると、応援したい自治体がたくさんあって迷ってしまいます。

ふるさと納税の本来の趣旨は自分が応援したい自治体に寄付をすること。寄付金の使途の選択もできます。なので、自分の生まれ故郷や、台風や地震など災害被害に遭い復興にお金が必要な自治体に応援の気持ちで寄付するのもいいですね。

――ふるさと納税12年のベテラン視点でオススメの返礼品や注意点はありますか?

その土地ならではのブランド牛や海産物、フルーツは返礼品としても人気です。ただし、一度に大量に届いてしまい、食べきれなかったという声も多く聞かれます。家族が多かったり、近所におすそ分け先がたくさんあったりするなら問題ないですが、そうでない場合は定期便にするなどを賢く活用しましょう。年数回に分けて、旬の野菜やフルーツ、海鮮が届くようにすれば、一度に大量に届くのが避けられ、旬の味覚を少しずつ楽しめますよ。

以下はさまざまな返礼品の例ですが、選ぶ際のポイントを上げてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

<食品>
●肉類……塊肉が冷凍で届いた場合、冷凍庫に入りきらなかったり、解凍したら全部食べ切らなければならなかったりするケースも。肉は、調理しやすい切り落とし肉や小分けになっているものが便利

●フルーツ……夏はメロン、冬はみかんなど、あえて旬の異なるフルーツを選ぶのがオススメ

●おせちセット……12月30日~31日に届き、冷蔵もしくは解凍して食べるタイプ。届く日が決まっているし、内容も充実しているものが多く、お得感あり

●日持ちするもの……長期出張などで留守にしがちな方は特にフリーズドライのふりかけやスープ、乾物などを選ぶのがオススメ。保存方法や保存場所にあまり悩まなくてよい

<日用品・その他>
●日用品……人気なのが、トイレットペーパー、ティッシュ、生理用品、洗剤詰め合わせなどの日用品。フライパンや包丁、金ざるなどの実用品も人気

●旅行券……寄付した自治体で使える旅行券、高級ホテルの1泊2日2食付きの宿泊券やペアランチ券なども贅沢気分が味わえて、ふるさと納税上級者に人気

●体験その他……無人島宿泊、人間ドック、出張マグロ解体ライブ、空き家の管理、お墓参りの代行サービスなどのユニークな返礼品も

――地元ならではの食材だけでなく、旅行券に日用品と、自治体もいろいろと工夫を凝らしているんですね。空き屋の管理やお墓参りの代行サービスなどがあることにも驚きでした……!早速始めたいと思います。ありがとうございました。

【教えてくれた人】
節約アドバイザー/消費生活アドバイザー 和田 由貴さん

日本女子大学家政学部卒業。消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。『即実践! 即効果! 節約のプロがおしえる家計防衛術』(辰巳出版)ほか著書多数

和田さん似顔絵イラスト

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