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2024年にお札が変わる!気になるリニューアルの裏側は?

UPDATE
2022/01/31/
2024年にお札が変わる!気になるリニューアルの裏側は?

2021年11月から新500円硬貨の発行が開始されました。また、2024年の上半期には20年ぶりに紙幣が刷新されることが発表されています。
なぜ今回リニューアルされることになったのでしょうか?
この記事では、貨幣刷新の理由や、人物の選定理由などリニューアルの裏側を紹介します。

なぜお金を刷新するの?

お金を刷新する一番の理由は、偽造を防止するためです。

偽物のお金は、作ることはもちろん、使うことも法に触れる犯罪であり、もし偽造紙幣・硬貨を行使した場合の法定刑は無期または3年以上の懲役とさだめられています。

もし偽物のお金を見つけた場合、すぐに警察に届け出る必要があります。ですが、精巧なつくりの偽造紙幣・硬貨は一見しただけでは本物と見分けがつきません。

実際、毎年発見される偽造通貨の数は決して少なくなく、令和2年では約2600枚もの偽造1万円札が発見されています。[注1]

そこで国は、偽造通貨の流通による被害を未然に防ぐために、おおむね20年ごとに紙幣の偽造防止技術やデザインを新しくする「改刷」を行ってきました。

2019年に決定された今回の紙幣の改刷も、前回の改刷(2004年)から約14年が経過しており、その間に民間の印刷技術が大幅な進歩を遂げていることから、より偽造しにくくするための工夫を採り入れることが主な目的となっています。

なお、今回の改刷に合わせ、2000年の発行から約18年が経過した500円硬貨についても、同様の理由で改鋳(貨幣の素材や偽造防止技術等を新しくすること)が実施されています。

[注1]警視庁「偽造通貨の発見枚数」

誰もが使いやすい紙幣にする目的も

今回の改刷の主な目的は偽造防止ですが、さらに誰にとっても使いやすい紙幣にすることも大きな理由となっています。

従来の紙幣は、目の不自由な方や外国人の方にとっては、どの紙幣が一万円札・五千円札・千円札なのか、なかなか判別しにくい造りになっていました。

そこで今回の改刷では、誰もが使いやすい紙幣とするために、昨今の世界の潮流であるユニバーサルデザインが採用されています。

具体的にどう変わるの?

銀行とお金のイラスト

では、2021年11月に実施された改鋳および2024年上半期に予定されている改刷によって、具体的にお金はどのように変わるのでしょうか。

今回の改刷・改鋳によって変更された部分を3つのポイントにわけて解説します。

1. 肖像・図柄の変更

一万円札・五千円札・千円札の3種については、表の肖像および裏の図柄が大きく変更されています。

以下では、新札と旧札との違いを一覧表にまとめました。[注2]

新札と旧札との違いの表

日本で初めて肖像入りの紙幣が発行されたのは1881年のことで、現在に至るまで、板垣退助や菅原道真、聖徳太子など、合計17人の肖像画が紙幣に採用されてきました。

今回の肖像の選定理由として、財務省は渋沢栄一氏、津田梅子氏、北里柴三郎氏の3名がそれぞれの分野で傑出した業績を残したこと。長い時を経た現在に至ってもなお課題となっている新たな産業の育成、女性活躍、科学の発展などの面から日本の近代化をリードしたことなどを挙げ、「日々の生活に欠かせず、私たちが毎日のように手に取り、目にする紙幣の肖像としてふさわしいと考えた」と発表しています。[注3]

なお、以前は飛鳥時代や平安時代の人物を肖像にすることもありましたが、近年は偽造防止の観点から、なるべく精密な写真を手に入れられる人物であること。また、肖像の人物が世代を問わず認知され、その業績が広く認められていることなどを重視し、明治以降の人物に絞って選定されています。

[注2]財務省「新しい日本銀行券及び五百円貨幣を発行します」
[注3]財務省「紙幣の肖像の選定理由を教えてください」

2. 新たな偽造防止対策

より偽造されにくい紙幣・硬貨づくりのために、新たな偽造防止対策が採り入れられています。[注2]

まず紙幣については、紙をすかして見たときに模様が現れる旧札の「すき入れ」に加え、新たに高精細なすき入れ模様を導入しています。

さらに、一万円札と五千円札にはストライプタイプ、千円札にはパッチタイプのホログラムをそれぞれ採用しています。

肖像の3D画像が回転するホログラムを紙幣に導入するのは世界初の試みで、最先端の偽造防止技術を用いて発行されていることがわかります。

500円硬貨については、2種類の金属板を挟み込む「クラッド技術」と、別の種類の金属で作ったリングにはめ込む「バイカラー技術」を組み合わせた「バイカラー・クラッド」を導入しているところが特徴です。[注4]

また、新硬貨の素材はニッケル黄銅・白銅・銅を組み合わせ、特殊な加工を施すことで、偽造・複製を困難にしています。

さらに、貨幣の縁に「異形斜めギザ」を入れ、縁の内側に新たな微細文字を加工するなどの工夫も採り入れられています。

[注4]財務省「解説!新しい500円貨」

3. ユニバーサルデザイン

目の不自由な方や、日本語が読めない外国人の方でも紙幣の違いを容易に判別できるよう、指の感触で識別できるマークの形を変更しているほか、紙幣の種類ごとにマークの配置を別々にしています。[注2]

また、額面数字(10000、5000、1000)を表裏ともに大型化すると共に、偽造防止のために導入しているホログラムとすき入れの位置も紙幣ごとに変更し、誰でも区別がしやすい配慮がなされています。

貨幣・紙幣が刷新されるとどうなる?

考える女性のイラスト

貨幣・紙幣の改刷・改鋳は、偽造防止や時代の流れを考えると必要不可欠なことです。

しかし、市場では新たな貨幣・紙幣に対応するため、さまざまな準備や整備を行わなければなりません。

たとえば、銀行や街中に設置されているATMや自動販売機などには、紙幣の種別を識別するための「紙幣識別機」または「紙幣鑑別機」が搭載されています。

偽造防止および紙幣の仕分けが主な目的ですが、従来の機械では新しい貨幣や紙幣を識別できないため、新たな機械への買い替えまたは改修を行わなければなりません。

ATMの1台あたりの値段は、コンビニなどに設置されている単機能タイプは平均200万円程度、銀行などに設置されている高機能タイプは500~800万円程度とされています。[注5]

第一生命経済研究所の試算によると、銀行などの金融機関とコンビニに設置されているATM/CDの3割を買い換え、残りは改修すると仮定した場合、そのコストは3,709億円と想定されるそうです。

同様に、店舗や街中に設置されている自動販売機も、買い換えまたは改修が必要で、そのコストは6,064億円と計算されています。

ATMや自動販売機などの運用を行っている企業・業者にとっては痛い出費となりますが、紙幣や500円硬貨が使えないATMや自動販売機は現実的ではないため、これらの機械の買い換え・改修は必須とされています。

なお、国では国立印刷局における製造に向けた準備や実際の印刷作業等にかかる期間として約2年半。さらに新しい貨幣・紙幣に移行する準備期間(ATMなどの開発・改修等)に約2年半かかることを想定し、2019年の改刷発表から5年後(500円硬貨は約2年後)に発行することを決定しました。[注6]

民間企業は貨幣・紙幣の刷新が発表されて以降、機器の買い換え・改修に取り組んでいますが、新型コロナウイルスの影響などにより、地域によっては対応に遅れが出ているところもあります。

現金からキャッシュレスへ

このように、貨幣・紙幣の刷新は必要不可欠でありながらも、その背景には膨大なコストと時間がかかっていることが分かります。
企業や店舗によっては、新紙幣・新硬貨対応の機器導入や改修費用を抑えるためにキャッシュレス対応の機器を導入する状況が進む可能性があります。

キャッシュレス化によるメリットは、企業や店舗だけでなく、消費者にもあります。

たとえば支払いをキャッシュレス化することで、手軽に使用できる・支出の管理がしやすくなるなどのメリットがあります。また、利用するサービスによっては、ポイントが還元されたりクーポンを獲得できたりといったキャンペーンを実施していることもあります。
こうしたメリットをふまえると、今回の刷新を機に、キャッシュレス化を検討してみるのもいいかもしれません。

第四北越銀行では、お客さまのニーズに合わせて、クレジットカードや電子マネー、スマートフォン決済など、さまざまなキャッシュレス決済に対応しています。
また、キャッシュカード一体型のクレジットカード「ウィリンクJCBカード」があれば、お財布の中もスッキリ。クイックペイも利用でき、ポイント交換先が多いのも魅力です。

簡単・便利なキャッシュレス決済を取り入れて、スマートなキャッシュレス生活を送ってみてはいかがでしょうか。

[注5]第一生命経済研究所「新紙幣・硬貨発行で期待される特需」
[注6]財務省「なぜ新しい紙幣の発行開始まで長い期間が必要なのですか」

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