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マイカーが欲しい! でもお金はどれくらいかかる? 年間維持費の目安と車との付き合い方を解説

相澤良晃
イラスト
前田はんきち
UPDATE
2022/07/15/
マイカーが欲しい!でもお金はどれくらいかかる?年間維持費の目安と車との付き合い方を解説

マイカーを手に入れるにあたって、やはり気になるのが維持費です。車検ってどのくらい?軽自動車はお得?保険は入ったほうがいい? 車を買う前に知っておいたほうがいいお金のあれこれについて、モータージャーナリストの川端由美さんにうかがいました。

車の維持費はけっこうかかる! 軽自動車の場合は?

車の維持費のイメージ

――「マイカーにはとにかくお金がかかる!」って聞きます。実際、どのくらい維持費が必要なんでしょうか?

一般社団法人・日本自動車工業会の「乗用車市場動向調査(2021年度)」によれば、車の維持費は、1カ月あたり11,300円となっています。ただし、ここで言う維持費に含まれるのはガソリン代・修理費・有料駐車場代・有料道路通行料などで、車両代・ローン返済・保険料・税金などは含まれていません。

そもそも車の維持には、どんなお金が必要なのか見てみましょう。

  • 自動車税・軽自動車税(種別割)
  • 自動車重量税
  • 自賠責保険
  • 任意保険料
  • 車検代
  • 法定点検代
  • メンテナンス代
  • 駐車場代
  • ガソリン代
  • 消耗品代

これらをすべて含めると、実際には一般的なガソリン車で「年間30~40万円が車に関連する費用としてかかっている」とされています。もちろん車種や燃費、使用頻度などにもよるので一概には言えませんが、マイカーを保有するには、それなりの出費があるということは覚えておくと良いと思います。

――「軽自動車であれば、かなり維持費が抑えられる」とも聞いたんですが。

そうですね。軽自動車は「全長3.4m以下」「排気量660cc以下」などの条件を満たしたコンパクトな規格の車なので、排気量によって決まる「軽自動車税」と重量によって決まる「自動車重量税」が低く設定されています。
さらに、車の所有者全員に加入が義務づけられている「自賠責保険」の保険料も割安です。そして、大きな車よりも燃料を消費しないので、ガソリン代の面でもランニングコストはグッと抑えられますね。

――じゃあ、やっぱり軽自動車にしようかな!

最近ではだいぶ改善されていますが、やはり軽自動車は車体が小さいぶん、安全面では普通車に比べると多少は劣りますので、コスト面だけでなく、安全面もよく検討したうえで、自分に合ったマイカーを選んでくださいね。

メンテナンスを怠ると痛い目を見ることに。半年に1度は点検を!

半年点検のイメージ

――車の維持費を見ていくと、点検の頻度が思ったより高くて驚きました。「法定点検」って何ですか?「車検」は聞いたことがあるけど……。

「車検」は、国が定める安全基準を満たしている車かどうかを調べる定期検査です。初回は新車登録から3年、以降は2年ごとに受けることが義務づけられていて、これを怠って公道を走ると厳しく罰せられるので、必ず受けてください。

一方の「法定点検」は、安全に走行するための定期メンテナンスです。とくに重要な26項目をチェックする「1年点検」と、より細かく56項目をチェックする「2年点検」があります。「法定点検」も法律で義務づけられたものですが、車検と異なり、怠ってもとくに罰則に問われることはありません。

――罰則がないなら、もしかして受けなくても……? 維持費はできるだけ抑えたいし!

いえいえ、やはり義務ですし、何より車の異常を早期発見するためにも法定点検は受けたほうが良いですよ。それにほとんどの車は、1年点検を継続的に受けていることが「メーカー保証」の条件になっています。しかも、「定期点検整備記録簿」に法定点検の記録が残るので、「ちゃんと整備をしている車だ」と評価されて、車の売却時には下取りでも有利になるんですよ。

ちなみに「法定点検」は、車のオーナー自身がやってもOKです。昔は自分で点検する車好きがけっこういたんですよ。でも、最近の車は機械系統が複雑なため、素人にはハードルが高くなっています。無理せず、プロにお任せすることをおすすめします。

――点検はどこで受ければいいんでしょうか?

基本はディーラーで受けるのが良いと思います。認定を受けたガソリンスタンドやカー用品店でも法定点検は受けられます。メーカーの正規販売店であるディーラーだと、メーカーから直接技術指導を受けているメカニックチームがいますし、交換部品も純正品を使用するので安心です。

特に、通勤などで毎日車に乗っていると、エンジン内部を循環する「エンジンオイル」は半年ぐらいで換え時になります。交換も兼ねて、半年に1回は点検に出しても良いと思います。

ディーラーの担当者は車についての最新情報をいろいろと教えてくれるはずですから、世間話をするつもりで定期的に点検を受けに行ってはどうでしょうか?

――でも、法定点検にはけっこうな費用がかかるんですよね。とくに「ディーラーは高い!」と聞いたことがあります。

確かにディーラーはサービスや保証が充実しているぶん、いわゆる“町の修理屋さん”よりも割高ですが、それほど大きな開きがあるわけではありません。普通車で1~2万円程度といったところでしょうか。「ディーラー=高い」というイメージが定着しているのは、車検のときに、パーツ交換や追加のメンテナンスをおすすめしてくれるからだと思います。

――そういうことなんですね! ちなみにパーツ交換や修理って、おすすめされたタイミングでやらないとダメですか? 金銭的に余裕がないこともあると思うのですが。

そんなときは「いますぐやらなければいけないのはどれですか?」と、修理の優先順位を聞いてみてください。
たいていのディーラーは、安全を重視して早めのパーツ交換や修理をおすすめしてきます。ですが、まだそれほど故障の危険性がないパーツについては、次回の法定点検まで交換や修理を見送ってもいいと思います。

点検の様子

マイカーライフを楽しむための、お金のかけどころ・節約どころ

――ちなみに、新潟だと冬期は冬用のタイヤへ交換しなければなりませんが、タイヤの買い替えってどのペースでやれば良いんでしょう? 節約ポイントも知りたいです。

タイヤの寿命は、冬用・夏用や、個々の使用状態や車の乗り方によって違うため、買い替え頻度は人によって違います。

ですが、タイヤがすり減ると、溝がなくなり「スリップサイン」が出ます。これは、残っている溝の深さが1.6mmを示す目安で、道路交通法で装着・使用が禁止されており、交換が必要になります。
しかし、冬道でのグリップ性能が求められる「冬用のタイヤ」は、この目安よりも早く買い替えるのが一般的です。冬の間は遠出が少ないなどの理由で走行距離が短く、溝が十分に残っている場合でも、タイヤのコンパウンド(タイヤの素材)の経年劣化は氷や雪の路面における性能に影響を及ぼすため、メーカーが推奨する年数が経過したら、十分に溝があっても買い替えることをおすすめします。

タイヤの寿命を少しでも伸ばし、タイヤの買い替えにかかる費用を抑えたいなら、安全運転は必須。急ブレーキや急ハンドル、車を停止したままハンドルを切る行為は、タイヤがすり減る原因になります。余裕のあるブレーキやハンドル操作を心がけてみてください。

また、雪の積もる新潟県では、道路に撒かれる融雪剤が、車の下回りやボディに付着し、さびやすくなります。場合によっては、部品交換等で費用がかさむことも……。定期的な下回り洗浄や、さび止めコーティングをすることで結果的に維持費用の抑制につながりますので、後の修理代のことも考えるとお金をかけてよい部分かもしれませんね。

――豪雪地帯だと駐車場選びも気になります。屋根があったり、消雪機能があったり。駐車場の維持費はどう抑えたらいいんでしょうか?

節約のために、安価な屋外の平面駐車場を借りている方もいるかもしれません。
ですが、屋外は雨や風、雪の影響をダイレクトに受けますので、洗車の頻度も高くなりますし、車の部品の寿命やメンテナンス回数が増えたり、外装が痛んだりすれば、中古の下取り価格にも影響をおよぼすため、結果的に維持費が高くついてしまうこともあります。

――そのほかに維持費を抑えるポイントなどはありますか?

最近では、国が設けた排出ガス・燃費性能基準をクリアした車に認められる「エコカー減税」制度もあって、対象となる車は減税されます。うまく活用すれば、維持費をだいぶ抑えられますよ。

また、自分で給油するセルフ式のガソリンスタンドを利用すれば、ガソリン代も少し抑えられます。最近では、地域のガソリンスタンドの価格情報をドライバー同士で共有できるアプリも登場しているので、あわせて活用してみてください。

任意保険も工夫できるポイントです。たとえば、複数台を所有する予定のご家庭では、2台目の保険料が安くなる「セカンドカー割引」が付いている保険商品に入っておくのが良いのではないでしょうか。

また、ネット型の自動車保険は、一般的な代理店型の保険に比べて保険料がかなり割安です。ただし、その安さの理由は人件費を抑えているから。代理店型であれば事故後の処理を担当者がやってくれるのですが、ネット型では担当者が不在なので、加入者自身が行うことになることもあります。当然、担当者に補償内容などの相談をするということもできません。そうしたデメリットをふまえたうえで、保険料を安く抑えたいなら、ネット型も検討してみてください。

――そもそも「任意保険に入らない」という選択はまずいのでしょうか?

まずいです!! 強制加入の「自賠責保険」の補償範囲は、「対人のみ」「支払上限3,000万円」です。つまり、車や建物などに衝突する対物事故は対象外。もし超高級車にぶつけて、数千万円を請求されたら……。

そして万が一、死亡事故を起こしてしまった場合、ご家族への慰謝料や葬儀費用のほか、死亡した被害者が本来得るはずだった将来の収入をすべて賠償しなければならないケースもあります。これらの賠償金をすべて合わせて、億単位の賠償を命じられた例も少なくありません。

こうしたリスクを考えると、補償金の上限が「無制限」の「対人・対物保険」に入っておくことをおすすめします。
また、ロードサービス付きの保険もありますので、その部分も一緒に検討してみてください。なお、保険会社の契約に付帯しているロードサービスは、条件が設定されており、有料となるものもあります。付帯の条件などは加入前に必ず確認しましょう。

――転ばぬ先の杖ですね。安心してドライブできそうです。

そうですね。マイカーライフを楽しむためには、かけるべきところに、きちんとお金をかけること。そのことをお忘れなく。安全・安心だからこそ、気持ちよく運転できるのです。

【教えてくれた人】川端由美さん
国立大学・工学修士。住友電工にてエンジニアとして研究開発に従事したのち、自動車専門誌『NAVI』『カーグラフィック』の編集部に転職。独立後はフリーランス・ジャーナリストとして、自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行う。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員などを歴任。近著に『日本車は生き残れるか』講談社刊がある。

川端由美さん

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