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みんなで取り組むSDGs|エコカー減税を活用して環境に良い車を選ぼう

相澤良晃
イラスト
鈴木衣津子
UPDATE
2021/08/27/
みんなで取り組むSDGs|エコカー減税を活用して環境に良い車を選ぼう

持続可能な経済・社会をつくるべく、「SDGs」の取り組みが広がっています。車の購入を検討しているのであれば、環境にやさしい車を選んでみませんか? 実は2021年5月からエコカー減税の新基準が適用され、これまで以上に燃費の良い車(=エコな車)だけが、税制面で優遇されるようになりました。
エコカー減税の仕組みから、賢いエコカーの買い方まで、モータージャーナリストの川端由美さんに教えてもらいました。

燃費がいい車ほど税が軽減! エコカー減税の仕組み

車のイラスト

――そもそも「エコカー減税」って何ですか?

「排気ガスを出さない」「燃費がいい」など、環境性能に優れた車(エコカー)の税金が軽減される制度で、2009年にスタートしました。2021年5月には制度改正が行われ、「2030年度燃費基準(※)」が適用されています。

※ 2020年1月に公布された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行令の一部を改正する政令」に基づき、2030年度までに達成すべき目標として策定された燃費基準です。

――車の税金って色々ありますよね。どれがエコカー減税なんですか?

エコカー減税について説明する前に、まず車にかかる税金について整理しましょう。購入時と車検時にかかる「消費税」以外に、(1)環境性能割(2)自動車重量税(3)自動車税(軽自動車税)があり、この3種類に「エコカー減税」が適用されます。

消費税率10%にともなって、購入時にかかる自動車取得税が廃止になり「環境性能割」が導入されました。「環境性能割」は、燃費基準を満たす割合によって減免対象となります。購入時や車検時にかかる「自動車重量税」は、車両の重量ごとに決められた燃費基準を達成すると減免対象となります。
また「製造から13年以上の車」は自動車重量税が割増になりますので、エコカーへの乗り替えの検討時期になるかもしれません。

環境性能割
(旧:自動車取得税)
自動車重量税 自動車税・
軽自動車税
概要 自動車の購入時に取得価額に対し課税される税金。 自動車の重量に応じて課される税金。

車両の重量ごとに決められた燃費基準を達成すると減免対象となる。

排気量に応じて課される税金。

自動車税・軽自動車税は、燃費や排ガス性能のいい自動車に対して、税金を時限的に軽減する特例措置「グリーン化特例」が適用される。

税率または税額 購入金額の0~3% 車両重量0.5トンにつき4,100円
※新車または登録後13年未満の自家用乗用車の場合
【排気量1.5リットルの自家用乗用車】3万500円
【軽自動車】一律1万800円
課税時期 購入時
毎年 × ×
車検時 ×

――では、どのくらい「エコカー減税」で税金が下がるんですか?

令和3年5月1日より次のように改定されました。
電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)などのいわゆる「次世代自動車」では、2回分の自動車重量税が全額免除されます。

【自動車重量税の減税の新基準】
令和3年5月1日~令和5年4月30日

EV・PHV
燃料電池車
天然ガス自動車 
2回免税

【ガソリン車・LPG車】

2030年度燃費基準
120%達成~
2回免税
2030年度燃費基準
90%達成~
1回免税
2030年度燃費基準
75%達成~
▲50%軽減
2030年度燃費基準
60%達成~
▲25%軽減

(注)減税対象は、2020年度燃費基準達成車に限る。
出典:「財務省|4 消費課税—令和3年度税制改正」より

たとえば、新車を購入した場合、購入時に課される自動車重量税と、3年後の初回車検時に課される自動車重量税がゼロになるわけです。

価格帯や車種のバリエーションなら、ハイブリッド車(HV)がダントツ

ハイブリッド車のイラスト

――エコカーがHV、PHV、EV、FCV? 横文字ばかりで、よくわからなくなってきました……。

慣れていないと大変ですよね。いま市販されているエコカーをちょっと整理してみましょうか。

HV
(ハイブリッド車)
PHV
(プラグインハイブリッド車)
EV
(電気自動車)
FCV
(燃料電池車)
動力源 ・ガソリンエンジン
・電気モーター
・電気モーター
・ガソリンエンジン
・電気モーター ・電気モーター
燃料補給 ・ガソリンスタンド ・家庭用コンセント
・充電スタンド
・ガソリンスタンド
・家庭用コンセント
・充電スタンド
・水素ステーション
航続可能距離(km) 1,500~1,800 EVのみ:20~80
(HVで乗れば、もっと長い)
150~500 700~800
新車価格帯 180万円~ 280万円~ 380万円~ 700万円~
特長 ・最も普及が進んでいるエコカー。
・さまざまな車種やグレードが登場している。
・EVのみでの航続可能距離は長くないが、通勤に利用する程度であれば不便なし。
・ガソリンを給油すれば遠方への走行も可能。
・エネルギー効率はガソリン車の約3倍と高い。
・急速充電スタンドであれば、最速30分程度で充電完了。
・航続可能距離も長く、排気ガスを一切出さない「究極のエコカー」との呼び声も高い。
・日本では燃料補給できる場所が少なく、まだ利用しづらい。

※今回の改定で、エコカー減税の対象となっていた「クリーンディーゼル車(CDV)」の特例は廃止されています。これからクリーンディーゼル車の購入を検討している方は、ご注意ください。

このなかでも、圧倒的なシェアを誇るのがやはりHVです。普及にともない、ひと昔前よりも価格がだいぶ下がってきましたし、車種の幅も広がってきました。少し古いデータですが、2019年では、国内で販売された新車の22%がHVだという統計(※)もあります。
※出典:世界の電動車(xEV)シェアは2030年に51%へ。日本では2030年に55%、ハイブリッド車が引き続きシェアを維持~BCG調査

それに比べてPHV やEVの普及はまだこれからといったところですが、バッテリーから外部に電源供給できることからも、「災害時の備え」としてPHV やEVを選ぶ方もいます。普通充電器と急速充電器をあわせて約3万基(うち新潟県内は約500基)が設置されるなど、徐々に電気自動車普及のためのインフラも整ってきているので、新車に長く乗りたい方は検討の余地があるかもしれません。

――エコカーといってもかなり車種によって特徴が違うんですね。購入する際、特に注意しておきたい点はありますか?

寒冷地でEVを購入する場合は、航続可能距離に気をつけてください。冬季は暖房に多くの電気を消費してしまい、走行距離が短くなってしまうおそれがあります。真冬、雪道で電気切れを起こして車がストップ、暖房もつかない……なんてことになったら大変です。冬場はこまめに充電して、なるべく遠出にEVは使わないのが良いと思います。

エコカー減税だけじゃない! エコカーの知られざるメリット

車を買い替えるイラスト

――あらためて、いまエコカー買うことのメリットを教えてください。

やはり、減税の効果は大きいと思います。シミュレーションしてみましょうか。

購入(新規登録・届出)した車は【課税標準額200万円、車両重量1.5トン、排気量1.7L】の自家用車を想定。

エコカー減税が適用されない場合

新車購入時 1年後 2年後 3年後
自動車税 ¥36,000 ¥36,000 ¥36,000 ¥36,000 ¥144,000
自動車重量税 ¥36,900 ※1 ¥24,600 ¥61,500
環境性能割 ¥40,000 ¥40,000
新車購入(新規登録・届出)時から3年後までの合計税額 ¥245,500

エコカー減税が適用される場合
2020年度燃費基準達成+2030年度燃費基準120%以上達成車で算出。

新車購入時 1年後 2年後 3年後
自動車税 ¥36,000 ¥36,000 ¥36,000 ¥36,000 ¥144,000
自動車重量税 ※2 ¥0 ¥0 ¥0
環境性能割※2 ¥0 ¥0
新車購入(新規登録・届出)時から3年後までの合計税額 ¥144,000

【エコカー減税による軽減額】¥101,500

※1 自動車重量税 12,300円×3年(車両重量0.5トンにつき4,100円の課税のため、1.5トンで算出/初回車検時までの有効期間)
※2 全額免除

――3年で10万円以上の減税は、かなりありがたいですね!

そうなんです。よく「税金が安いから軽自動車に乗っている」という方がいますが、最近は軽自動車そのものが人気で、車体価格も高騰してきています。同程度の車体価格であれば、普通自動車のエコカーも軽自動車も、税金面を含めたコストオブオーナーシップ(車の購入から維持管理にかかる費用)がそんなに変わらない可能性もあるので、軽自動車だけでなく、ぜひお手頃のHVも検討してみてください。

――ほかにもエコカーを選んでおいたほうが良い点はあるのでしょうか?

最近のエコカーは、豪華なオプションが付けられていることが多く、車を手放す時に「いいお値段」で下取りしてもらえることも珍しくありません。エコカーに限らず、車を買う時は、オプションや仕様も吟味して、中古で高く引き取ってもらえそうかどうかも検討してみてください。「中古で高く買い取ってもらえそうな車」をディーラーに聞いてみるのもいいと思います。人気の車種やカラーであれば、5年落ちのモデルでも購入時の6割程度で買い取ってもらえるケースもあります。

――売ることも考えて車を選ぶなんて考えてなかったです(汗)。同じ車にできるだけ長く乗るのが一番だと思ってました。

「もったいない精神」が染みついている私たちは、つい「同じ車を乗り続けたほうが経済的なんじゃ……」と思ってしまいがちですが、実はそうでもないんですよ。自動車の燃費性能もどんどん向上していますし、メンテナンスにかかるコストや税金のことなどトータルで考えると、実は3~5年で買い替えるのが賢い車の乗り方ではないかと私は思ってます。中古で高く売って、そのお金をもとにまた中古で高く売れそうな車を買うわけです。いまはマイカーローンもさまざまあるので、資金繰りも工夫しやすいと思います。
また、中古で手放した車も、そのまま廃車になるわけではなく、十分に走る間は誰かの手に渡って使われることが多く、自動車はリサイクル率も高いので、環境負荷への配慮も行われています。

――ちなみに、エコカー減税以外に活用できる公的な制度はありますか?

車の購入費や充電設備の自宅設置費用を補助してもらえる「クリーンエネルギー自動車(CEV)補助金」があります。一般社団法人「次世代自動車振興センター」のホームページで申請条件や該当車種を確認してみてください。申請もこのホームページから行えます。

――CEV補助金やエコカー減税を利用すれば、費用を抑えて買い替えができそうですね。

そうですね。ただ、「エコカーである前に車である」ということを忘れないでください。まず、自分や家族が快適に乗れる車種を選ぶ。その車種でエコカーであれば、検討してみる、という流れがいいと思います。今後、ますますエコカーは増えていくので、賢く上手に車を選んでいきましょう。

【教えてくれた人】川端由美さん
国立大学・工学修士。住友電工にてエンジニアとして研究開発に従事したのち、自動車専門誌『NAVI』『カーグラフィック』の編集部に転職。独立後はフリーランス・ジャーナリストとして、自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行う。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員などを歴任。近著に『日本車は生き残れるか』講談社刊がある。

川端由美さん

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