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資格を取ってキャリアアップしたいなら、 受講費用の最大70%が戻ってくる教育訓練給付制度に注目!

渡辺まりこ
イラスト
前田はんきち
UPDATE
2023/05/24/
資格をとってキャリアアップを目指す

多様な働き方が可能になりつつある現代。個人のスキルアップのための、資格取得が注目されています。そこで注目すべきなのが、国が定めた教育訓練給付制度。一定の条件を満たすことで、教育訓練を修了した際に、受講料の一部を受給できる制度です。人気の資格から受給条件や受給の仕方について、新潟県を拠点に活動中のキャリアコンサルタント、若槻彩子さんにくわしいお話を伺いました。

キャリアアップに人気の資格とは

ーーなぜいま資格取得が注目されているのでしょうか?

これまでの知識、スキルだけでは個人も企業も多様な変化についていけない時代になっています。また、仕事のスキルや知識をアップデートして「雇用される価値がある自分」となることが以前にも増して求められる傾向にあります。その点で、資格取得はもっとも具体的な手段でもあり、業務に活かせる知識、スキルも身につくと考えられるからですね。

ーーキャリアアップのための資格取得を推奨する会社も増えていますね。資格の取得に向けた学費の一部を国から負担してもらえる制度もあるそうですが。

はい、教育訓練給付制度ですね。この制度を利用すると厚生労働大臣の認定を受けた教育訓練を受講・修了した場合に、国から給付金を受け取ることができるのですが、一口に資格といっても国家資格から民間資格まで何百種類もあり、給付対象となる対象講座数は1万件以上です。

ーーその中でもどんな資格がおすすめなのでしょう?

たとえば、人事系なら社会保険労務士、中小企業診断士、キャリアコンサルタント。営業・マネジメント系ならMBA(経営学博士)あたりでしょうか。そのほか、保育士や調理師、介護福祉士など、業界で働くために必須の資格も給付制度の対象になっています。

ーー転職を視野に入れた場合、「これは!」という資格はありますか?

資格取得が転職に直結するとは限りませんが、業界を問わずに人気なのが、TOEIC・TOFELなどの語学に関する資格ですね。また、「ファイナンシャルプランナー」も鉄板の人気資格です。保険や不動産業界で役立つのはもちろん、個人事業主として独立を視野に入れて資格取得をめざす方もいます。DX推進という時代背景を受けてIT系資格も人気です。雪国・新潟ならではと言えば、除雪車が運転できる「大型特殊自動車免許」を取得する方も少なくありません。職場での相談対応に活かせる「産業カウンセラー」などの心理・メンタルヘルス系資格も県内では人気の資格となっています。

受講する前にしっかりと自己分析&情報収集を

カウンセラーにお金の相談をする女性

ーー資格取得は毎日忙しい人でも可能でしょうか?

可能だと思いますよ。1か月程度で資格取得できる講座もたくさんあります。最近は社会人向けのオンライン講座が人気ですし、平日夜や休日に開催されたり、アーカイブ視聴もできたりするので、在職中の方でも無理なく学ぶことができます。

ーー資格を取ると、世界がグンと広がりそうな気がしますね。

そうですね! 民間企業の社員でもMBAや自社の業務に活かせる資格を持っていれば、さまざまなシーンで知識が役立ちますし、業務の幅が広がり、顧客や上司からの信頼度が上がるなど社内の立場的にもステップアップにつながるんじゃないでしょうか。
また、転職活動をする方にとって、資格は大きな武器となるはずです。

ーー資格を選ぶときに注意すべきことはありますか?

しっかりと自己分析や情報収集をしてから、取得する資格を決めることが重要です。「何となく知識が役に立ちそう」「転職しやすそう」と安易に受講した結果、仕事に活かせない、時間が取れず修了できなかった、などムダにお金や時間を費やしてしまったというケースは多々あります。
職業情報提供サイト「job tag(じょぶたぐ)」は自己分析や情報収集にも役立ちますし、学び直しを含めキャリアに関する相談をしたいと思った時にはキャリアコンサルタントに相談するのがおすすめです。在職中の方向けにも様々な支援機関がありますので、ネット等で情報収集し、ご活用くださいね。求職者の方であれば、ハローワークをぜひ利用してみてください。

給付金の受給要件は「雇用保険」等がポイント

ーーせっかく資格を取るのなら、教育訓練給付制度を利用したいと思う方も多いと思いますが、具体的にはどうすればいいのでしょうか?

まず給付金対象となる教育訓練には全3種類あり、それぞれ給付率と給付される上限額が異なります。基本的には厚生労働大臣の認定を受けた講座が対象で、最大で受講費用の70%が支給され、年間上限56万円まで受給することが可能です。

教育訓練の種類 給付率 年間の上限支給額 対象講座の例  
専門実践
教育訓練
最大70% 最大56万円
(最長4年)
・業務独占資格など の取得を目標 とする講座(介護福祉士、看護師、保育士、調理師、キャリアコンサルタントなど)
・デジタル関連の講座(ITSSレベル3以上のIT関係資格など)
・大学・大学院・専門学校課程(MBAなど)
特定一般
教育訓練
40% 20万円 ・業務独占資格などの取得を目標とする講座(介護職員初任者研修、社会保険労務士、大型特殊自動車免許など)
・デジタル関連の講座(ITSSレベル2以上のIT関係資格など)
一般
教育訓練
20% 10万円 ・資格取得を目標とする講座(中小企業診断士、ITパスポート、インテリアコーディネーター、簿記検定など)
・大学院などの課程

ーー取りたい資格があったら、チャレンジしてみた方がいいですね!

その前にまずは自分が受けたい講座が給付金対象講座であるかどうかを調べる必要があります。これは厚生労働省のサイト「教育訓練給付制度厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」から調べることができます。ただ、人によっては給付金の受給資格がない場合もあるので注意が必要です。

ーー給付金の受給資格とは?

給付金の受給資格は「雇用保険に加入している(いた)こと」です。在職中の方は雇用保険の加入期間や受給履歴等により受給資格の有無が決まります。会社を退職した方は、過去に雇用保険に何年入っていたか、雇用保険脱退から何年経過したかなど、ケース別に細かな決まりがあります。
給付金の受給資格のあり・なしについては、ネットでも調べられますが、細かな要件があるので、最寄りのハローワークで確認することをおすすめします。

ーー給付金を申請するまでの流れを教えてください。

ご自身に受給資格があることを確認したら、給付対象講座に申し込みをします。受講後、講座主催者から教育訓練証明書や領収書を受け取り、それらと必要書類をハローワークへ提出します。但し、目標とする資格や講座によって必要な手続きや提出書類が異なるので、くわしくは最寄りのハローワークで確認してみてください。

ーーということは、講座受講の費用はいったん自分で全額支払う必要があるんですね。いつ給付金を受け取れるのでしょうか?

早くて1週間ほどで入金されます。ですが、講座によって給付までの期間が異なるので注意してくださいね。

教育訓練給付制度の活用例

教育訓練給付制度の活用例

講座の受講費用はどう工面する?

ーー給付金を受け取る前に、講座の受講費用を全額自己負担しなくてはならないのは金銭的に不安なケースもありそうですが、みなさんは受講費用をどう工面しているのでしょう?

数万円で受講できる講座がたくさんあるので、そうした講座はみなさん自己資金で用意されていますね。会社によっては、資格取得費用を負担してくれる場合もあります。ぜひ一度確認してみてください。
※会社からの助成や支援制度を活用する場合は、教育訓練給付は適用にならない場合もあるので注意しましょう。

教育訓練給付の支給を受けるまでの流れ

教育訓練給付の支給を受けるまでの流れ

ーー費用が高額になる講座にはどんなものがありますか?

看護師・美容師・MBAなどの資格を取得するためには、大学院や専門学校に数年間通って取得するケースもあり、100万円単位の費用がかかります。費用を自分で工面するのが難しい場合は、親族から借りたり、銀行でローンを組んだりすることもあるようです。
ご自分のキャリアプランを見直す際に、取りたい資格は何か、また給付制度の対象か、講座受講費用はどのくらいかなどぜひ一度調べてみてください。

【教えてくれた人】若槻彩子さん
キャリアコンサルタント。キャリア支援事務所「WcareerOffice」代表。新潟県を拠点に、企業向け人材育成や就職支援など、キャリアサポートに関する活動を行う。

若槻さん

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