第四北越銀行マネーまるわかり

失敗しないカードローンの使い方をお金のプロに聞いてみた

相澤良晃 
イラスト
オオカミタホ/前田はんきち
UPDATE
2021/06/14/
失敗しないカードローンの使い方をお金のプロに聞いてみた

やばい、給料日前で結婚式のご祝儀代を用意できない! 親に借りようかな。でも、この前も引っ越し代を出してもらったし……。そうだ「カードローンならすぐお金を借りられる」って友だちが言ってたけど、ぶっちゃけ使っても大丈夫なの?

【登場人物】

【教えてくれた人】平井美穂さん
平井FP事務所代表。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(CFP)、証券外務員1種。大学卒業後、新築マンションの販売会社、都市銀行などで、マンション購入提案、住宅ローン・金融商品の営業などを経て、2012年独立系FPとして活動開始。住宅ローンに関する相談のみならず、家計の見直し相談など、相談件数は5,000件超。

平井美穂さん

【話を聞く人】鈴木 祐太さん
就職をきっかけに、親からしっかりお金を貯めるように言われているものの、ついネットショッピングなどでお金を使い過ぎてしまう20代。

鈴木 祐太さん

旅行、結婚資金から食費、家賃の補てんまで!カードローンの意外な使われ方

「すぐお金を借りられて便利」って聞きますけど、そもそも「カードローン」って何ですか? 使っても大丈夫なものですか?

鈴木さん

カードローンは「住宅ローン」や「マイカーローン」などと異なり、使用目的がはっきりしていなくてもお金を融資してもらえるローン商品です。複雑な契約書の取り交わしもないほか、担保や保証人を用意する必要もなく、スピーディーにお金を借りられる点も特徴です。海外旅行や結婚資金、趣味などに使う人もいますが、食費や家賃、光熱費など、一時的な家計の不足分をカードローンで補う人も意外といます。

平井美穂さんファイナンシャルプランナー・平井美穂さん(以下、FP・平井さん)

旅行、結婚資金から食費、家賃の補てんまで!カードローンの意外な使われ方

へえ!そんな使い道があるとは……。今までのイメージは、飲み会や買い物をし過ぎたときに「困った!お金がない!」という状況で使うものかと思っていました。旅行や結婚資金などにも自由に使えるんですね。ネットショッピングが好きで、欲しいと思ったらすぐにクリックしてしまうんですが、この前クレジットカードの明細を見てビックリなんてことがありました……。急な出費等、困ったときにはカードローンが役に立ちそうですね。

鈴木さん

たとえば、鈴木さんみたいに若い方は仕事やプライベートでも飲み会も多いですよね。給料日前に急な飲み会が入ったけど、お金がなくていけない、なんてときにカードローンがあればお金の心配も不要ですよね。そういう場合に、一時的にカードローンを利用するのもひとつの手段だと思います。ただし、それを繰り返していると借入金額が大きくなって大変なことになるので注意してくださいね!

平井美穂さんFP・平井さん

カードローンの使い道はわかりましたが、上手に利用するためのポイントを教えてください。

鈴木さん

当たり前ですが、なるべく早く返済するということに尽きると思います。

平井美穂さんFP・平井さん

クレジットカードのキャッシングとは何が違うの?

ちなみに、クレジットカードの「キャッシング枠」でもお金を借りられるけど、あれとは何が違うんですか?

鈴木さん

大きな違いは金利です。大抵のクレジットカードにおいて、100万円までのキャッシングは、法律の最大利率である年18%に設定されています。一方、カードローンは金利3~14%台で設定している金融機関が多いので、お得に借りることができます。

また、基本的にクレジットカードのキャッシング機能は、ショッピング機能の「おまけ」のような位置づけです。そのため利用限度額もそれほど多くはありません。しかし、カードローンは、最大限度額が800万円に設定されているものもあります。

平井美穂さんFP・平井さん
  カードローン クレジットカード(キャッシング)
借入方法 専用ローンカードでATMから引出し クレジットカードを利用してATMから引出し
借入限度額 10~800万円程度 最大100万円程度
金利
※審査結果等により異なる
年3.0~14%台 年18.0%(100万円の場合)
返済方法 ATMで自由に返済可能(利用残高に応じて毎月定額の返済有) 翌月1回払いまたは定額リボ払い

そんなに借りられるんですか!?

鈴木さん

実際は、これまでのクレジットカードの利用実績や年収などの個人信用情報をもとに審査されて、利用限度額が決まります。「この人は、借りたお金をちゃんと返してくれる人だ」と判断されれば、それが利用限度額に反映されるわけです。

反対に、クレジットカードの返済を延滞していたり、すでにあちこちのカードローンで融資を受けていたりすると個人信用情報にネガティブな記録が残り、利用限度額が抑えられるばかりか、そもそもカードローンの契約ができない場合もあります。

たとえば、友人にお金を貸してそのお金が返ってこなければ、二度とその友人にお金を貸したくないって思いますよね。それと一緒です。

平井美穂さんFP・平井さん

そうですね。期日にお金を返すのは約束を守ることと同じですね。気をつけないと。

鈴木さん

さらに、カードローンの利用限度額は「総量規制」というルールで、「年収の3分の1まで」と定められています。ですから、年収300万円の人は、どんなに信用が高くても利用限度額は最大100万円となるわけです。

厳密にいうと、「総量規制」は、銀行以外のいわゆるノンバンクのみに適用されるルールで、銀行には適用されません。しかし、だいたいの銀行がこの総量規制を参考にして、年収の3分の1以下に限度額を設定しているようです。

平井美穂さんFP・平井さん

カードローンの広告を見ると「極度額」というのを見たことがあるのですが。

鈴木さん

「極度額」は、契約時に決まる最大の融資額です。「限度額」との違いがちょっとややこしいのですが、整理すると以下のようになります。

極度額……カードローン申込者が最大限利用できる金額のこと。原則、契約が続く限り変わらない。
限度額……カードローン申込者が、極度額の範囲内で、現時点で借りることができる金額のこと。

「極度額」は、「あなたの返済能力なら、最大でこのくらい融資できますよ」という金額ですが、初めてのお客さんに最初から大きな金額を貸すのは、金融機関としても不安ですよね。

そこで、「まずはおためしに、このくらいまで貸しましょう」と設定するのが「限度額」です。たとえば、「極度額200万円、限度額50万円」となったら、借りられるのは50万円まで。しかし、その後きちんと返済を続けるなどして信用が増せば、限度額は70万円、100万円、150万円……と上がっていきます。ただし、極度額の200万円を超えることはありません。

平井美穂さんFP・平井さん

限度額が下がることもある?

鈴木さん

そうですね……。返済を遅延したり、年収が下がったりすると、限度額も下がってしまうことがあります。とくに長期にわたって返済が滞ると、新たな契約での借り入れができなくなる恐れもあるので、返済は絶対に遅れないようにしてください。

平井美穂さんFP・平井さん

カードローンは銀行系とノンバンク系どっちがいい?

  銀行系カードローン
(都市銀行、地方銀行)
ノンバンク系カードローン
適用される法律 銀行法 貸金業法
資金使途の制限 事業・投機目的は不可 基本的になし
金利
※審査結果等により異なる
年1.9~15.0% 年1.8~18.0%
融資までのスピード 翌日から1週間程度 即日

実際にカードローンを使う場合、どんな手続きがいるんですか?

鈴木さん

カードローンを扱っている業者は、「銀行」と「ノンバンク」に大別されますが、どちらも基本の流れは下記のようになります。

平井美穂さんFP・平井さん
  1. 氏名・住所・生年月日などの個人情報と、勤務年数・雇用形態・年収などの属性情報を記入して、店頭・インターネット・電話・無人契約機から利用申込をする
  2. 審査結果を待つ
  3. 審査に通ったら、郵送または無人契約機でカードを受け取る
  4. ローンカードを使ってATMなどから借り入れ、返済をする

申し込みの方法はいくつかありますが、大半の金融機関が24時間365日、ネット申し込みに対応しています。審査期間は30分から1週間と金融機関によってまちまちです。街中などで見かけるノンバンクであれば最短30分で審査が終わり、すぐカードが発行されて、その場で借り入れができます。

一方、銀行は即日融資に対応していないことも多く、審査に数日かかるケースがほとんどです。審査が下りたあとも、カードが郵送されるまで1~2週間かかることもあります。

平井美穂さんFP・平井さん

最短30分!? すぐに使えるなら、ノンバンクのほうが使い勝手がいいように感じますが。

鈴木さん

審査のスピードだけをとればそうかもしれません。ただし、他の条件をみればそうでもないんですよ。実は金利は都市銀行や地方銀行のほうが、ノンバンクよりも低く設定されることが多いんです。

平井美穂さんFP・平井さん

そっか、銀行は比較的金利が低いんですね。それなら銀行のカードローンを検討しようかな。
そういえば、ネットで広告などを見ていると、「実質年率」と書いてあることがあるんですが、あれは「金利」と何が違うんですか?

鈴木さん

カードローンをはじめ金融機関から融資を受ける際には、金利以外にも手数料などの諸費用がかかるのですが、それをプラスして計算した金利が「実質年率」です。カードローンの場合、ノンバンク系は提携ATMを使って返済すると、1回数百円程度の手数料がかかる場合もあります。

平井美穂さんFP・平井さん

なるほど。返済にATMを使うと手数料がかかるということですが、カードローンの返済方法には、どのようなものがあるんですか?

鈴木さん

毎月決められた期日までに提携ATMやインターネット経由で返済する方法と、口座引き落としで、毎月決められた期日に一定額を返済する方法(どちらも約定返済)があります。
借入額が多くなると、月々の返済金額も増えると思ってください。ただし、約定返済は借入金額に対して返済額が低く抑えられている返済方式なので、返済が長期化してしまいがちです。それを防ぐために重要なのが、「随時返済」です。

平井美穂さんFP・平井さん

ズイジヘンサイ?

鈴木さん

毎月の返済とは別に、好きなタイミングで行う追加返済のことです。お金に余裕のあるときに、こまめに随時返済することで、早く完済できます。早く返済できれば、その分だけ支払利息を節約できるというわけです。

平井美穂さんFP・平井さん

へえ!意外と融通が利くんですね。

鈴木さん

随時返済を利用することも重要ですが、無理な借り入れにならないよう、きちんと自分の年収と返済能力を把握して、最低でも1~2年以内に完済できる見通しを立ててからカードローンを利用することをおすすめします。

平井美穂さんFP・平井さん

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